4月30日 日曜日 「最終回の予言」

 「ふふふ……そこのお嬢さん、お待ちなさい」

 「怪しげな壷なら間に合ってます。それじゃあさよなら」

 「怪しげな壷が間に合っている家とはどうなのかい……?」

 怪しい勧誘を断るための言い訳だって気付いてくださいよ。
 何にせよ、こんな不気味なおばさんに構っている暇は無いのです。

 「実は私はどこにでも居る予言者でね……」

 「予言者なんてどこにでもいねえよ。
  少なくとも私の周りにはいないよ」

 「ふと思い立って、お嬢さんの運命を予言してあげたくなったのさ」

 「何故そのようなはた迷惑な事を思いついちゃってくれてんですか」

 「神様からのお告げがあってねえ」

 「予言者でありながら預言者なんですか。紛らわしいったらありゃしない」

 あと、仮ではありますが私も一応神様なんですが?




 「それでは今より、『ゴミとロボとイジメの関係』の最終話の展開を予想してやろう!!」

 「迷惑だ! それは本当に迷惑だ!!」

 「まずはじめに、生き別れの妹がボスであった事が判明する」

 「生き別れちゃいないですが、リーファちゃんがラスボスであったとしても驚かない。
  そして、私はためらいなく倒そうとすると思う」

 「破天荒な性格しているねえ」

 自分の事を予言者とか言ってる人に破天荒だなんて言われたくないです。



 「それで、どうなっちゃうの?」

 「ラスボスとの死闘は熾烈を極め……」

 「まあラスボスなのに熾烈を極めないのはどうかと思うけども。
  そいで、どうなるんですか? さっさと言っちゃってくださいよ」

 「自転車に乗れるようになります」

 「わーい♪ やったぁ♪ ……ってバカ!! バカバカ!!
  2年近くグダグダやってきた事の結末が、よりにもよって自転車に乗れるようになったですか!?
  世界で一番しょぼい成長物語だよ!!」

 「全米が大泣き」

 「そりゃ泣くだろうさ」

 私も泣けてくるよ。そんな人生。




 「それで世界は平和に包まれたのでした」

 「私が自転車に乗れるようになって包まれた平和ってなんやねん」

 「ほのぼののんびりライフストーリー、ここに完結ってね」

 「今さらそんな方向に路線変更なんて出来ませんよ」

 「まあ良かったじゃないか。ハッピーエンドで終って」

 「そう解釈するべきなのかなぁ……?」

 「ちなみに全人類の8割は死んでるんだけどね」

 「ええー!? なんですかそのカタストロフ!!?? 何が起こったんだよ!?」

 「自転車の補助輪を外した影響で地軸が歪んで……」

 「私の自転車すげえ!!」

 もしそれが本当なのであれば、今から『ゴミとロボとチャリの関係』にでも改名しますよ。




 5月1日 月曜日 「看板などなど」

 「ねえねえウサギさん。この家に看板みたいなもの付けようと思うんだけどさ、どんなものが良いかな?」

 「看板……? 看板って、あの店先とかによく置いてある?」

 「いいえ。空手道場などに掲げられている奴の方です」

 「なおさら何でだよ。何でそんなものをこの家に付けるんだ」

 「だってそうすれば強者どもが集う場所みたいな感じがするじゃない」

 「そんな雰囲気を醸し出させててどうするんだ。この家をいったいどうしたいんだ」

 「とにかく強い感じをコーディネートしたいんですよ!! 匠の技で見違えるような家にしたいんですよ!!」

 「強い感じの家って言ってもなあ……。
  具体的にはどんな家なんだよ」

 「ええっと……武家屋敷とか?」

 「武家屋敷って強い家なのか……?」

 「語感が強いじゃないですか。ブケッって。
  ブケヤシキッ!! って」

 「そんなの千夏の言い方次第だろ」

 「とにかくですね、この家をヤクザたちなんかに舐められないような家にしちいのです」

 「ああ、なるほどね……。そういう理由ね」

 「ねえ、ウサギさんはどうしたらいいと思いますか?」

 「前みたいにミサイルやら何やらが突き刺さった家にしてみれば?」

 「あれは家のデッドスペースが増えるのでダメです。
  ちなみにこのデッドには、空間が死んでいるというだけでなくてもうひとつの死を表してまして……」

 「そういう説明は別に良いと思うよ」

 私は常日頃からユーザーフレンドリーを心掛けていますから、その一環なのですよ。
 誰がユーザーでどこがフレンドリーなんだか分かりませんが。





 「とりあえず看板を付けるのは決定の方向で」

 「げ……マジでやるのか……」

 「看板にはなんて書きましょうか?
  『TINATSU』とか?」

 「なんとなくTSUTAYAっぽいよ」

 「じゃあ看板の代わりに白髪の老人のマネキンでも置きましょうかね……?」

 「こんどはKFCっぽくなっちゃったよ。それは果たしてどうなのか」

 でもフライドチキンのおじさんは強そうじゃないですか。
 白いタキシードの奥に強靱な肉体を隠してそうな体格が。
 あの人、若い頃は絶対に流れの傭兵だったね。




 5月2日 火曜日 「女神ポイ捨て」

 「この世界に無駄なものは無いって言う人がいますけど、それが本当だと無駄って言葉が無駄になっちゃいますよね」

 「おおー。なかなか哲学的なことを言いますね千夏さん」

 女神さんにとっては、堂々巡りの言葉遊びが哲学なのですか。
 まあ、今はそんなことどうでも良いです。

 「そいでもって、ゴミを多く出すなとよく言われるのですが、それでもやはり人は何かを棄て続けなければならないのですよね。
  だって、人間には両手に抱える事の出来る量が決まってるんだもの。
  全てを抱えて生きていくだなんて、出来ないんですよ」

 「うんうん。そうですね。それが現実というものです。
  女神である私にも分かります」

 「そうですか! 女神さんも分かってくれますか!?」

 「ええ! 分かりますともさ!!」

 「よし!! じゃあ出ていってください女神さん!!」

 「……え? 今、なんと?」

 「荷物抱えて出ていきやがれ。ちんたらしてっと荷物くくりつけて外に放り投げてやっぞコノヤロウ。
  って言ったんです」

 「さっきよりもひどくなってるじゃないですか千夏さん!!」

 聞こえてたんじゃねえか。



 「なんで!? なんで私を棄てるんですか!? ブームが去ったから!?」

 「ブームだから飼っていたわけじゃないし、そもそも女神を飼うブームなんてきてない!!
  正直に言ってしまえば、我が家の中で一番無駄で迷惑だから」

 「なんてすんなりと酷い事を!?」

 「だって女神さん、ヤクザから1億円とかぶんどってくるんだもん!!
  迷惑とかそういうレベルじゃなくて害悪だ!!」

 「うわぁん!!そこまで言わなくても!! というかさっきの言葉たちは、私に向けての物だったのですね!?
  そういう伏線だったのですね!?」

 「伏線というか、いきなり言っちゃうのはさすがに可哀想かなって」

 「本当に可哀想だと思うなら出て行けだなんて言わないで下さい」

 「それは無理」

 「ううう……」

 「ほらほら、そんなに泣かないでよ女神さん。
  女神さんなら、近所の公園でもやっていけるよ」

 「ホームレス決定ですか!?」

 まあ、その……役所の人たちに家を片付けられないように気をつけてください。




 5月3日 水曜日 「なんか拾ってきたもの」


 「え〜っと、なにかないかなぁ〜……」

 「……加奈ちゃん? こんな夜中に冷蔵庫なんて開けてどうしたんですか?」

 「ドキドキッ!? ま、ママ!! 起きてたの!?」

 「ええ。伊達にアウトロー小学生やってるわけじゃありませんから。
  この程度の夜更かしぐらい朝飯前ですよ」

 「確かに朝ご飯はまだだよねー♪」

 「うん。深夜だからね。
  じゃなくて。そんなトンチはどうでも良くて。
  加奈ちゃんは、なんでこんな時間に起きてるの?」

 「え〜っとねえ……眠れなかったから?」

 「後ろにハテナマーク飛ばされても。
  とりあえずその言い分を信じるとして、なんで冷蔵庫なんか開けてるの?」

 「ん〜っと、ん〜っとねえ…………カニカマボコ食べたくなったから?」

 「ずいぶんと急な食欲してますね加奈ちゃん」

 成長期だと喜ぶべきなのでしょうか?



 「じゃ、じゃあカナはもう部屋に行くねっ! ばいばいっ!!」

 「ちょっと待った加奈ちゃん!!」

 「なっなに!?」

 「なにか私に隠しているでしょう!?」

 「そんなことないですポヨ!!」

 「ポヨって! 思いっきり動揺して語尾が何か魔法少女の傍らに居る珍生物みたいになってる!!」

 「本当だから信じて! カナの部屋とかにはなんにも居ないから!! だからカナの事信じて!!」

 「そんな言い訳で信用する親はいません! というか赤の他人でも信じない!」

 私は一直線に加奈ちゃんの部屋へと向かいました。
 その道中で加奈ちゃんが私を必死に止めようとします。
 そこまでして隠したいものってなんなんでしょうか……?
 もしかして、どこからか犬猫の類を拾ってきたとか?
 前に一度そういうのを拾ってきた雪女さんを叱りつけてやった事がある手間、きちんと言ってやらないと。



 「だめー! 開けちゃだめー!!」

 「コラ! 加奈ちゃん、離しなさい!!」

 いよいよ加奈ちゃんの部屋のドアへとたどり着きました。
 ここまできたら遠慮はいりません。
 思いっきり扉を開けてやるのです!!

 「どえりゃー!!」

 「ああっ! にげてー!!」

 加奈ちゃんの部屋のドアを開けた私が見たものは、一匹の小汚い…………女神さん。

 「ち、千夏さん!?  いや! これは違うんです! そういう事じゃないんです!!」

 「コラ加奈ちゃん!! 野良の女神を拾っちゃだめでしょ!!」

 「ううう……ごめんなさぁい……」

 「あっれー!? 私の事無視して説教始めちゃった!?」

 「いい加奈ちゃん? 野良の女神なんてね、最初は可愛いかもしれないけれど、後々は居ることにさえ気づかなくなるのよ?」

 「そんな諭すような口調で酷い事言わないでください」

 「それにね、初めは一匹だけだけど、すぐにたくさん増えちゃうんだから」

 「人をなんだと思ってるですか!! 増えませんよ!!」

 「この家に居着いてる貧乏神は確かに増加したと思う」

 「気のせいですそれは!!」



 それの真偽は置いといて、とりあえず出てけ。



 5月4日 木曜日 「知らない単語」

 「初めて聞いた時はまったく訳が分からない単語ってありますよね。語感からその内容を想像しにくいっていうか」

 「いかなりなんですか千夏お姉さま? 脳でも膿んだか?」

 「例えばマーマレードとか。マーマレードって何!? と初めて聞いた時は思いませんでしたか?」

 「初めてマーマレードという言葉を聞いた時の事を鮮明に覚えているほど人生が暇な訳じゃないです。
  だけどまあ、マーマレードという単語は今聞いても不思議な感じがしますね。
  その名を聞いてもマーマレードの形を上手く思い浮かべませんし」

 「だよねー。母親の手作りっぽいとか、そんな感じにしか聞こえないよね〜」

 「マーマね。そこの部分の事ですね」

 「今でこそみんな使ってるけどさ、eメールも出てきた頃は訳が分からないって感じだったと思うんだよね」

 「確かにそうだったかもしれませんねえ」

 「eメールのeは何のeなのか、全国の有志たちが悩んだと思うんだよね」

 「eメールのeが分からない時点で有志では無いですよね」

 「そしてその有志たちが知恵を振り絞り、ついにeメールのeがインターネットのeである事を解明するのですよね」

 「千夏お姉さま! それ、間違ってますよ!! インターネットのeじゃないです!!
  そもそもインターネットの頭文字だったのであればiメールじゃないですか!!
  なんですかiメールって!! どこの携帯電話特有の電子メールだ!!」




 「まあこのように、初めて聞いた言葉ほど恐ろしいものは無いのですよ。
  人々を混乱の極みに陥れるからね」

 「どんなハルマゲドンですかそれは」

 「そう。そのハルマゲドンも最初聞いた時は意味がまったく想像できなかったね。
  何かの怪獣かと思ってた」

 「確かに日本の怪獣にはドンとかゴンが最後に付く事が多いけども」

 「中山ゴンとかね」

 「それは怪獣じゃないです」

 「リーファちゃん、実は私はですね……今日、余りにも聞き馴染みの無い言葉を知ってしまったんですよ。
  それこそ先ほど言ったとおり、混乱の極みに陥れられるぐらいの言葉をね…………」

 「ち、千夏お姉さまが混乱するくらいの言葉……?
  あの、『絶対零度の理性』と呼ばれたお姉さまが混乱ですって!?」

 「そんな名で呼ばれたのは初めてですよ。
  まあとにかく、せっかくなのでリーファちゃんにも聞かせてあげようと思いましてね……」

 「ち、千夏お姉さま!? そんなの、別にいりませんよ!! 結構です!!」

 「くくく……そう言わずに聞きなさいな。
  良いですか?その言葉はですね……」

 「い、いやぁー!!!!」




 「チュロスです!!」

 「今更それなんですかお姉さま!?」

 「え? え? 知ってたの?」

 あっれー!? もしかして知らないの私だけ!?



 5月5日 金曜日 「子供の日」

 「なんと! 今日は子供の日!!」

 「そういえばそうでしたね。ちらしずしとか作りましょうか千夏さん?
  といってもウチには男の子いないからあまり祝えない気がしますけど」

 「何を言ってるのですか雪女さん。近代は男女平等の時代ですよ? 女の子だって、こどもの日を楽しんだって良いと思います」

 「うん。自分の都合の良いところだけ男女平等という単語を口にするあたりが大人の女のずるさをかもし出していますが、
  確かに子供なんだから祝ってもらってもいいかもしれませんね」

 「今すげえ毒吐いたな雪女さん」

 「よし! じゃあとことん子供の日を祝っちゃいましょう!!」

 「そうだね! 祝おう!! だけど……子供の日ってどんな風に祝えばいいんだろうね?」

 「ええっと……鯉をさばいて料理にするとか」

 「酷い! 子供の成長を願ってこいのぼりあげているはずなのに、その象徴である鯉をさばくというのですか!?
  それはまるでディズニーランドが……」

 「千夏さんストップ!! 今から言おうとしている比喩はかなりのやばさを持った匂いが感じられました!!
  口にしちゃダメ!!」

 「ネズミ捕りを設置しておく……はっ!? そ、それもそうですね。言っちゃまずいですよね。
  危ない所でした…………」

 「いや、結構口にしちゃってましたよ千夏さん」

 「ん〜……なんか葉っぱに包まれた餅を食べるぐらいしか思いつかないなぁ」

 「ああ。そういうの確かにありましたね。柏餅でしたっけ?」

 「あとは……あとは……」

 「あまり思いつきませんねぇ」

 「子供を山に送り出して、その山の中にいきている獣を狩ってこさせるとか……?」

 「どこの部族の成人の儀式なんですかそれは」

 「ああ! ダメだ!! 全然思い浮かばない!! もしかして子供の日って、思ったよりもつまらない!?」

 「かもしれませんねえ」

 「ちくしょう!! それでもゴールデンウイークの締めだと言うのですか!?
  それでオオトリを勤めているつもりなのですか!? 子供だからって許されることじゃないでしょうに!!」

 「子供の日は祝日の中では子供なのですか?」

 「ええ。若造も若造ですよ。みどりの日にさえ頭が上がらない」

 「その上下関係は良く分かりません」

 「あーあ。なんだかやる気なくなっちゃったなぁ。ゴールデンウイークなのになぁ」

 「といっても千夏さん、ゴールデンウイークあまり休めてませんでしたよね。
  せわしなく動き回ってましたけど、何してたんですか?」

 「まあ私には私なりのやる事があるのですよ。いつもぐうたらしてるわけじゃないのです」

 「ふぅ〜ん。何だか良く分かりませんけど、お疲れ様です」

 「はぁ……やっぱり休みは寝ることしか楽しむ事出来ないのかなぁ」

 「ああっ! ひとつだけありましたよ!! 子供の日のメインイベント!!」

 「え? 本当ですか!? それ、すっごく楽しめます!?」

 「ええ! もう楽しめますよ!! ディープインパクトの活躍ぐらい楽しめます!!」

 「良くわかんないけどその言い方は期待しちゃいますね!!
  で、それは何!?」

 「身長です!! 身長をこの日に測って、成長具合を確かめるのです!!」

 「あ……っそう」

 「……やっぱりダメですか?」

 「私がそれを楽しめると思いました?」

 「言ってる途中からその自信が無くなってました」

 じゃあ言わないで下さいよ。
 所詮、子供の日なんてこんなものですか…………。





 5月6日 土曜日 「久しぶりの友達」

 「……」

 「え〜っと、その、あれですよ」

 「……」

 「そう! あの!! あの三度の食事よりネジを回すのが好きな!!」

 「……」

 「…………玲、ちゃん?」

 「遅い! 遅いよ千夏ちゃん!!
  私千夏ちゃんの友達でしょ!? 何忘れてるの!?」

 「わ、忘れてなんかいませんよ!!
  ただちょっと思い出すのに手間取っただけです!!」

 「それを忘れてたって言うの!!」

 「思い出したじゃん!! 万事オッケーじゃん!!」

 「うわぁ……とうとう開き直り始めたね!?
  というかさっきの何!? 三度の食事よりネジを回すのが好きって何!?」

 「それは素晴らしい趣味だと思いますよ玲ちゃん。誇っても良いぐらいです」

 「誇らないよそんな趣味!!
  そもそもネジを回すだけの趣味なんて持った覚えがないし!!」

 「あれ? もしかしてノコギリで木材をひたすら切るのが趣味でしたっけ?」

 「そんな日曜大工の切れ端みたいな趣味してないよ!!
  ……はあ、もういいよ千夏ちゃん。せっかく久しぶりに遊びにきたのにこんな仕打ちだなんて……」

 「あは、あははは…………ごめん玲ちゃん。
  ほら! 気を取り直して遊ぼうよ!! ねっ?」

 「でも……千夏ちゃんは本当は私の事なんてどうでもいいんでしょ?
  友達だなんて思ってないんでしょ!?」

 「そんなどうでもいいうざったいセリフ吐いてる時間がもったいないからさ、早く遊ぼう!」

 「酷い! その言いぐさは酷すぎるよ千夏ちゃん!!」

 はぁ……これだから女の子同士の友情はうざったいんですよねえ……。
 もっとさっぱり生きれないものですかねえ。

 「はいはい、玲ちゃんは私の一番の友だちだよ。
  だから気ぃ直して遊ぼう?」

 「……えへへー。うん、いいよー!!」

 たったその一言で機嫌直してくれるんですね。
 意味あったのか? 今のやりとりは。




 「じゃあなにやってあそぼっか?」

 「板に刺さった釘をひたすらバールで抜きまくる祭りは?」

 「全然つまらなそうだよ千夏ちゃん!! というかなんで今日は大工関係にこだわるの!?」

 「そんな……最近の私のマイブームが否定されてしまうだなんて……」

 「え!? あれ、本気の提案だったの!?」

 結構楽しいんですよ? バールでの釘抜き。
 この嗜好を分かってくれる人は結構多い……はず?











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