5月14日 日曜日 「雪女さんの護身術」

 「最近物騒じゃないですか。いろいろと」

 「おそらくそれは紀元前から言われ続けてきた事だと思いますけどね。最近物騒っていう言葉は」

 「ほら。外国人の犯罪が増えてきているし」

 「日本人の犯罪は減ってるんだけどね。最近話題の少年犯罪も含めて」

 「でも未成年の強盗は増えているじゃないですか」

 「今まで窃盗だったものを強盗として扱いだしただけなんだけどね。ちょっと怪我させたりしたら強盗になるんだって。厳罰化とかそういう流れで。
  厳罰化というよりは警察側の業務成績アップのために思えるのだけど」

 「……」

 「……」

 「……千夏さん」

 「なんですか雪女さん?」

 「もしかして千夏さん、私が今からしようとしている話を未然に防ごうとしていますか?」

 「いやいやいや。滅相もございません。ただ、マスコミに洗脳された脳みそをすっきりさせてあげようとですね……」

 「とにかくっ! 最近物騒なんですよ!!」

 「強引に話を進める手段に出たか。でも、物騒じゃないんだってば」

 「きーっ!! いいから話を聞きなさい!!」

 「はい」

 でも女の人のヒステリーは確かに増えたかもね。
 あはは…………。




 「私、格闘技でも習おうと思っているんです」

 「護身のために?」

 「ええ! やっぱり最近の女性は強くなければ!!」

 「ふ〜ん。いいんじゃないですか?」

 「おっ。千夏さんも応援してくれるんですか?」

 「雪女さんが戦う技術を学んでくれるなら、ヤクザ邸に打ち入りする時便利かなぁって」

 「なんて酷い理由なんだ!! 兵士としての成長しか喜んでくれないの!?」

 「別に良いじゃないですか。強くなれれば。どのように利用されようとも」

 「でも利用されるのはやっぱり……」

 「面倒くせえ雪女だな」

 格闘技ぐらい私に相談せずにならいなさいっての。





 「でもさ、本当になんで私なんかにその事相談したのさ? 勝手に習えば良いのに」

 「いやですね、その格闘技を習う道場の教習料が、非常に高価でして……」

 「ああ。なるほどね。だから一応家長の私に了解を求めようと。
  そういう所は良い子ですよ雪女さん。で、いくらすんの?」

 「46万円です」

 「たけえ!! びっくりな程高い!! そんな事私は許せませんよ!!」

 「しかしですね、これを払えばひとりで紛争を鎮圧できるほど強くなれるんですよ?」

 「どんなの習ったらそういう事できるんだよ? 空手? 柔道? 合気道?」

 「空舞破天流です」

 「あのバカ師匠そんな商売してるのか!!??」

 絶対に許しません。何よりも、あの師匠にお金を払うという事が許せません。
 だからダメです。





 5月15日 月曜日 「準備完了」

 「ふふふ……ついにこの時が来ましたよ!!」

 「どうしたんだ千夏……? なんだかすごくノリノリっぽいけど」

 「聞いてくださいウサギさん!! とうとう準備完了なんですよ!!」

 「準備完了ってなんの?」

 「そりゃあもちろん、ヤクザ宅へと突入する準備がですよ!!」

 「うわぁ……ついに戦争が始まるのかぁ……」

 「あらウサギさん。やけに嫌そうな顔しますね」

 「戦争とかそういう事態になると苦労するのは俺だからね」

 「今回も活躍を期待してますよウサギさん」

 「はあ……まあいいけどさ」

 「とにもかくにもですね、ようやく兵隊たちが集まり、そして黒服さんが開発した武器の量産が終わったのです。
  まさに、機は熟した!!!! ……えへへ、この言葉、一度言って見たかったんですよね」

 「縄跳びさえうまく飛べない兵士と、あの黒服が作った武器…………俺に言わせてもらえば、まったく機が熟せずじまいなんだが?」

 「まあほら、これ以上ヤクザの問題を後回しにしててもさ、面倒なだけだから。
  あと、そろそろ飽きてきたし」

 「最後の言葉が本音だろ?」

 「さあ皆の者! 今こそ討ち入ろうぞ!!」

 「あ。さらりと無視された」

 人間には誰だって触れられたくない事があるのですよ。
 特に図星だった時などは格別に。




 「行ってらっしゃーい千夏さーん! 必ず帰ってきてくださいねー!」

 「ええ! もちろんですとも!! ……って雪女さん。なににこやかに送り出してくれちゃってるんですか」

 「だって私にはこれぐらいしかできないし……」

 「戦力として十分使えますよ雪女さんは。前に悪の秘密結社と闘っていたりしてたじゃん」

 「今の私をあの頃の私だと思ってもらっては困りますね!!」

 その言葉は普通、自分の成長を侮るなという意味で使うものでしょうが。
 なんで昔より退化している事を誇らしげに主張しているんだ。



 「私も陰ながら応援してますよお姉さま」

 「ほほう。リーファちゃんも見送りモードか。たいそうなご身分ですな」

 「えーっと、あれですよ。持病の五月病の具合が悪くて」

 「五月病を持病として抱えてるなんて、どれだけダメ人間なんだお前は。
  ……もう、本当にあなたたちはダメですね。たまにはあの女神さんを見習いなさい!!」

 「え!? 女神さんを!?」

 「ほら! 彼女はあそこの、庭の隅で竹やりを持ってひたすらサンドバックを突き刺しているんですよ!?
  なぜか死ぬ気満々じゃないか!! 死ぬ気満々で、出番を掴み取ろうとしているじゃないか!!
  そんな女神さんを見習って、雪女さんたちも私と一緒に……」

 「確かにその心意気は買いますけど……ぶっちゃけ、惨めですよね」

 「まあね。超ぶっちゃけ惨めだけどね」

 「あ、あなたたちっ!! 私のこと見ながら何話してるんですか!?」

 私たちのことは気にしないでいいですよ女神さん。
 どうぞ、死ぬための……ゲフンゲフンッ!! 戦うための訓練をしておいてくださいな。




 5月16日 火曜日 「戦争開始と懐かしい人」

 「ぜんたーい!! 突撃ー!!」

 「うおおおお!!!!」

 私の号令によってとある日本屋敷に突入していく兵士たち。
 そうです。今まさに、ヤクザ邸へと討ち入りしようとしているのです。
 まさに、決戦の時。

 「死ぬ気で頑張りなさい!! 死んだら落とした金品だけは拾ってあげるから!!」

 「それってただの追い剥ぎじゃないか」

 ナイスな突っ込みですねウサギさん。
 まあ今はそんな突っ込みいらないんで、とっとと邪魔なヤクザさんたちをやっつけてくださいな。



 「うぎゃあああ!!」

 「ちくしょう! なんてやろうだ!! まるで化け物か!!」

 「むむ……? なにやらあちらで苦戦しているようですね。
  このまま一気に制圧出来ると思っていたのですが……さすがに甘くは無かったですか」

 「どうやらそのようだな。どうする千夏? ひとまず撤退するか?」

 「いえ、まだ撤退なんて早すぎますよ! ここはやはり我が軍の一番の戦力であるウサギさんになんとかしてもらわなくては……」

 「結局そうなるのな。分かったよ、どんと任せとけ」

 力強い事を言ってくれて、ウサギさんは兵隊たちが苦戦しているらしき所へ行きます。本当に頼もしいですねえ。




 「わははははは!! 我に勝てると思う者は前に出るがいい!!
  そんな身の程知らずたちは、このシャーク大帝の牙で噛み砕いてやろうぞ!!」

 「あー!? 私たちとアメリカ軍が戦争した時に居た怪人!?
  こんな所で何してるんですかあなたっ!!」

 「お前は……いつぞやの小娘か。
  こんな所で会えるとはな……これも運命か」

 「なにカッコつけたセリフ吐いてるんですか。しかもいつの間にか位が大帝にまでなっちゃって」

 「この大帝という名は、悪の秘密結社を再建する事を忘れぬように、自分という存在に刻みつける意味を持って名乗り出した名だ。
  なみのおかしいことなどない!!」

 「そんな悪の秘密結社の再建を誓ったあなたが、どうしてここにいるのですか。
  お母さ……この組の組長にでも雇われたんですか?
  悪の秘密結社を再建するための金をあげるから、用心棒にでもなれと」

 「しれ者がっ!! その程度の恩恵のために、社会のつまはじき者に手を貸すかっ!!」

 へぇ……一応は仁義というか志しみたいな物はあったんですね。そこまで腐ってはなかったか。


 「ただ私は、荒れた肌に効く薬を手に入れるために……」

 「サメ怪人のくせに鮫肌気にしていたのかよ!!」

 というか、あなたの肌の悩みは秘密結社の再建にも勝るのか。




 5月17日 水曜日 「女神さんの出番」

 「さあ勝負だ小娘っ!! 悪の秘密結社再建のための礎となれ!!」

 「何が悪の秘密結社の再建だ!! 本当は肌荒れの薬が欲しいくせにっ!!」

 「お前に肌荒れに悩む者の気持ちが分かると言うのかっ!?」

 肌荒れぐらい経験したことありますが、それでもあんたのその命がけの戦いを理解する事は出来ませんよ。
 なんでそんなにやる気なんだ。



 「まあちょっとまってくださいよシャーク多田さん」

 「誰だよシャーク多田って。勝手に人にプロレスラーに居そうな名をつけるな」

 「やっぱりですね、すべてを暴力で解決するのはいけない事だと思うんですよね。
  だからどうか、私たちと語らいあって相互理解を深めようじゃないですか」

 「いくらヤクザの家とはいえ、武器を持って突撃してきたお前らに言われたくは無いわ」

 「そうですよね。その事を、今悟ったんです」

 「ずいぶんといろいろやっちゃった後に悟ったんだな。
  あまりにも遅すぎた」

 「まあよく言うじゃないですか。ドンマイって!!」

 「そんなんで許せるかー!!」

 「ぎゃああああ!!」「のわあああ!!」「ぶひょおおお!!」

 怒ったシャークさんが私たちの兵士をちぎっては投げ、ちぎっては投げています。
 なんて逆上の仕方ですか。もうちょっと静かに怒ってください。



 「くっ……やはり戦うしかないのですか」

 「この家に突入した時点でそれは決まってたようなものだけどな」

 「やっぱりここはウサギさんに何とかしてもらうしか……」

 「はいはい。頑張りますよ」

 何だか乗り気じゃないですねウサギさん。まあ仕方ないか。

 「よし、サメ怪人。時間も無い事だしさっさと決着をつけ…………」

 「その勝負待った!!」

 シャークさんの下に歩み寄ったウサギさんを止める1つの声。
 どこの誰がこんな事をしてくれるのかと思ったら…………なんていうか、その……。

 「私があなたを倒します!! そこのウサギは大人しくしてな!!」

 …………女神さんでした。



 「女神さん……いったいどうしたと言うのですか?」

 「今こそ、私の活躍の時なのです! 千夏さんも邪魔しないで!!」

 「いや、別に邪魔する気は無いけども……」

 「死ぬ気で頑張りますから!! 死ぬ気で、戦いますから!!」

 なんとなく本気で死んでしまいそうな気がしますが、頑張ってください。




 5月18日 木曜日 「史上最強のへたれ」

 「千夏さん! 私の事はいいから、早く先に行ってください!!」

 シャーク大帝の前に立ちはだかる女神さんが私たちに向かってそう言いました。
 なんだかカッコいいね。まるで女神さんじゃないみたいだね。女神モドキだね。

 「うんっ! 最初からそのつもりだったよ女神モドキさん!!」

 「うわぁ、ひどぉ……。そして私の名前の後ろに付いてる余計な物はなに?」

 何って改めて聞かれてもねえ……。

 「えーっと、じゃあひとりでも大丈夫ですか女神さん?」

 「そんなとって付けたかのような心配されても」

 とって付けて心配したんだから仕方ないじゃないですか。



 「ふふふ……でも大丈夫ですよ千夏さん。私は、さっさとコイツをやっつけて千夏さんたちの後を追いますから」

 「まあ私がしてた心配は葬式屋はもう決めましたかとか、遺言書はちゃんとしたためましたかとか、歯はちゃんと磨きましたか程度のものだったんですけど」

 「私が死ぬの確定で話を進めないでください!! というか最後のは何ですか!?」

 「とにかく女神さん頑張って!! 骨とか飛び出るぐらい頑張って!!」

 「うっ……戦う前に嫌な想像をかき立てるような応援しないでください」

 それはごめん。嫌がらせじゃなく素でした。




 「ふふふ……お前程度の者がこのシャーク大帝に勝てると思っているのか!?」

 「私は甘党です!!」

 「俺はブリーフ派だあ!!」

 やり合う前からパンチドランカーな会話しないでくださいお二人さん。




 「千夏……俺たちは先を急ごう」

 「ウサギさん……。でも女神さんが……」

 「なんだ。やっぱり心配してるのか?」

 「そりゃあまあね。家族だし。
  それに今回の頑張りっぷりは、こういう騒動を引き起こした責任を感じてのものだと思うし」

 「その気持ちは分かるが……俺たちにはやらなくちゃいけない事がある。そうだろ?」

 「そうですね。一刻も早くお母さ……組長をぎゃふんと言わせなきゃ」

 「ああ。だから俺たちは今、先に進まないといけないんだ。
  女神さんが後から追ってくる事を信じてな」

 「……ええ! 女神さんを信じましょう!!」

 あの人なら、女神さんならきっとやってくれるさ!! ねえ、そうでしょ女神さん!?



 「…………」

 へんじがない。ただのしかばねのようだ。




 「って死んでるー!?」

 なんて事でしょうか? 私とウサギさんが話している間に、女神さんがシャーク大帝にやられてしまいました。
 時間稼ぎにもなりゃしないとは。さすがに予想外なへたれだ。




 5月19日 金曜日 「雪女さんの出番」

 「なんて事でしょうか……。シャークさんの足止めをしてあげると大見栄切った女神が、まるで雑巾のようにキュッと絞られてしまうとは」

 こりゃあもう生き恥もいいところですね。
 いや、死んでいるんだから死に恥ですか? というよりも犬死にだけど。



 「ふふふ……このシャーク大帝さまににらめっこで勝負を挑むとは、なかなかの命知らずだった。
  しかしっ!! 命を棄てる程度の覚悟では勝てぬ戦もあるのだよ!!」

 にらめっこで勝負してたのかよお前ら。
 というか死者が出るほどのにらめっこって、どれだけ面白い顔したっていうんですか。
 一度でいいから見てみたい。





 「さて、どうしますウサギさん?」

 「どうするって、コイツが見逃してくれないならば俺が闘うしかないだろ……」

 「それもそうですね。頑張ってウサギさん。女神さんの仇をとって!」

 「にらめっこで死んだ奴の仇討ちか……」

 こらウサギさん。露骨に嫌な顔しないの。
 人ひとり死んでいるんだから、頑張って神妙な顔してくださいな。




 「待ったウサギさん!! そのサメ怪人は、私がやっつけます!!」

 「え!? ええ!? 雪女さん!?」

 なぜか雪女さんが、さっそうとどこからか飛んできて、私たちとシャークさんの間に着地しました。
 かっこいいね。登場の仕方は。
 それに何の意味があるのか分からないけど。




 「雪女さん、なんで……」

 「千夏さん。私、気付いたんです。
  私は……今の私は、千夏さんの奴隷家政婦なんだって!」

 「遅いな。気付くの」

 「でも! それじゃいけないんです!!
  奴隷のままじゃ、家政婦のままじゃいけないんです!!
  そして……私が千夏さんにきちんと家族として認めてもらうには、こうやって家庭の危機と戦わなきゃいけないんです!!
  誰でもない、千夏さんと一緒に!!」

 「雪女さん……」

 「さあ早く組長の下へと行ってください!! 私がコイツを引きつけている隙に!!」

 「……千夏、行こう」

 「う、ウサギさん! でも雪女さんが……」

 「大丈夫。あいつは強いよ。身体面もだけど、何より心が強い」

 「そうなんでしょうか……?」

 「ああ。だってあいつはもう決めてるもの。
  家族のために闘う覚悟をな」

 「……そうですね。そんな覚悟があるのなら、すごく強いはずですよね」

 分かりましたよウサギさん。きっと雪女さんは勝ちます。私は、そう信じています。
 そういう想いが雪女さんの力になるはずだから、私は信じ続けますよ!!


 「だから雪女さん頑張って!! 私、あなたが追ってくるのを待ってるからね!?」

 「…………」

 へんじがない。ただのしかばねのようだ。






 「……ってまた死んでるー!?」

 雪女。お前もか。(カエサル最期の言葉)




 5月20日 土曜日 「リーファちゃんの出番」

 あらすじ:女神さんに続いて雪女さんも死にました。足止めすらしてくれませんでした。
      とりあえず自分の生きていた意味について、あの世で徹底的に議論する必要がありそうです。

 「ぐはははははは!! 私にメンコで勝負しようとした心意気は認めるが、しかしやはり腕が足りなかったな!!」

 「メンコ勝負なんかで雪女さんは死んだんですか……」

 ますます悲惨な死に際だな。犬死ににも程があるな。

 「さて……ウサギさん。どうしましょうか?」

 「どうしようも何も……って、こんな会話、前もやったよな?」

 「そうですね……。そして雪女さんが現れて、喪に服されたんですよね。
  もしかしたらまた……」

 「おいおい。いくらなんでも3回も同じ事は……」

 「千夏お姉さま! ウサギさん!! そのサメ怪人の事は私にお任せください!!!!」

 「やっぱ来ちゃったー!!??」

 どこか間違った感じの宇宙法則に従って現れたのは、リーファちゃんでした。
 彼女も散っていった2人と同じように、シャークさんと私たちの間に降り立ちます。

 「千夏お姉さま! 安心してください!! 私が、私の手でこいつを倒します!!」

 「リーファちゃん……気持ちは嬉しいんですけど、やめとこ? 今日はそういうのやめとこ?」

 「ちょ、なんでですかお姉さま!! 私は、今すごくみなぎっているというのに!!」

 「そう言われてもですねぇ……その、勝ち目無さそうだし」

 「ふふふふ……安心してください千夏お姉さま。私は、今までのへっぽこアサシンとは一味も二味も違うのです」

 「どこが変わったと言うのですか……。私にはまったくその違いが分かりませんよ」

 「それは……家族の大切さを知ったからです!!」

 「それか。お前もまたそれなのか」

 「あっれー!? 感動さえしてくれない!?」

 今この場ではですね、何かを熱く語りだそうとすると死亡フラグがビンビンに立ちまくるそうですよ。
 お気をつけて。





 「ぐはははは。面白い。今度の相手はお前か」

 「よぉし。頑張って倒してお姉さまに認めて貰えるように……」

 「いいから。そんなに頑張んなくていいから。ウサギさんに任せておけばいいんだから」

 「ちょっと!! 人がやる気になっている時に水を差すようなこと言わないでください!!」

 「私はリーファちゃんの事を想ってですねぇ……」

 「うるさいうるさいうるさい!! それでも、私はやらなきゃいけないのですよ!!
  だって、このままヘッポコのままで居るのは嫌だもの!!」

 「リーファちゃん……」

 「私だって、やれば出来るって事をみんなに教えたいんです!! だから……絶対にっ!!」

 「……そう、ですか」

 リーファちゃんはリーファちゃんなりに悩んでいたのかもしれませんね。
 ただ、この場でそれを言うのはすっごく危険だと何度も言って…………まあ良いです。
 彼女の気持ちは分かりました。


 「よし分かったリーファちゃん。あなたの想い、しかと受けとめました。
  でもですね、やっぱりシャークさんと戦うのは……」

 「大丈夫ですってばお姉さま。なんて言ったって私には奥の手が…………ぶひょるふぁぁがあつっ!!!!」

 「話してる時にがっつりと殺されたー!!??」

 いくらなんでもこれは酷すぎる。
 これはさすがにダメでしょう。










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