8月6日 日曜日 「帰還」

 「あれ……? なんだか視界が滲んできたんですけど、どうしたんでしょうかねおばあちゃん?」

 「それはね、現実世界での千夏ちゃんの首と胴がくっつけられて、蘇生しようとしているからよ」

 「っていうか今まで放って置かれっぱなしだったの!?
  酷いにも程がありますよ!!」

 「という事はもうお別れね千夏ちゃん。私はあなたのおばあちゃんの記憶の塊でした無かったけども、それでも会えて嬉しかったわ」

 「ちょ、ちょっとおばあちゃん!! まだ私にはおばあちゃんにいっぱい聞きたい事があるんですよ!!」

 「ええ、私も……千夏ちゃんともっといっぱい話したかったわ。
  毎日楽しい? とか、好きな子できた? とかね」

 「いや、私が話したかったのは主に黒い星の民についての事で、別におばあちゃんと日常の話をしようとは思わない……」

 「でもねっ、大丈夫よ千夏ちゃん! いつかきっと、また会える日が来るわ!!」

 「他人の話を聞いてよおばあちゃん!! なに爽やかに再会の約束してくれちゃってるの!?」

 「じゃあねー。千夏ちゃ〜ん」

 「待ってくださいってばおばあちゃん!!
  黒い星の民の弱点は!? それだけは教えてよ!!」

 みるみるうちにこの世界は歪み、色素を失っていきます。
 おそらく私は元の世界へと連れ戻されそうなのでしょう。
 完全におばあちゃんから引き離される前に、どうにか聞きたい事だけでも聞いておかねばっ!!

 「えーっと…………コオロギとか」

 「コオロギ!? コオロギがなんなの!?」

 「食べれない」

 「普通の人間はそうだろうがバカ!!」

 私の突っ込みを待たずに、世界は真っ白になってしまいました。
 ああ、さようならおばあちゃんの記憶の塊さん…………。
 割と楽しかったですよ。ただ少しばかりマイペースすぎてムカつきましたけども。





 「千夏! 大丈夫!? どこか痛くない!?」

 「お、お母さん……? ここは、私たちの家ですか?」

 「そうよ千夏!! 本当に良かったぁ……。もしかしたらこのまま目を覚まさないかと思ったわ」

 「お母さん……。あのね、私、おばあちゃんに会ったんですよ。
  まあ、本当のおばあちゃんってわけでは無いようですが」

 「そう……。よほど打ち所が悪かったのね千夏」

 ばっさりと娘の臨死体験を否定するのはやめてもらえますか?



 「……そうだお母さん。ひとつだけ聞きたい事があるんですけど良いですか?」

 「ん? なあに?」

 「…………何で首の取れた私を、そのまま数日間放って置いたの?」

 「いや、あのね? 宇宙に行ってた間に溜まっていた家事とかなんかがね?」

 普段やらない家事よりも、娘の蘇生を優先させなさいよ!!

 というか死ぬほど嘘っぽいですね……。



 8月7日 月曜日 「拗ねた母親」

 「さてお母さん。ちとお話があるのですがよろしいかね?」

 「なに? どうしたの?
  久しぶりに私が作った朝食、地中海風カップヌードルを食べる事を中止してでも話したい事なのかしら?」

 「ええ。そりゃそうですよ。
  っていうかなんですか地中海風カップヌードルって。これのどこが地中海風なんだ?」

 「エビと貝づくしじゃない」

 「こういうのは普通シーフードヌードルって言うの!!
  わざわざ普通にコンビニに売っている商品にそんな言い方するな!!」

 「じゃあイタリア風スパゲティでも食べる?」

 「イタリア風じゃないスパゲティって何やねん。
  タラコか? タラコスパゲティか?」

 「タラコスパゲティ食べたいの?」

 「違います!!
  ……もー、なんでこうも話が前に進まないの!?」

 「いつもの事じゃない」

 「なお悪いってんですよお母さん!!
  いいですか!? 私たち、このままここでぐうたらしていていいの!?」

 「なに言ってるの千夏!? そんな事してて良いわけないじゃない!!」

 「そういう認識はあったんだ!? そこにちょーびっくり!!」

 というか分かっててこんなゆったりと過ごそうとしてたんですか。



 「早く冥王星に行かないとウサギさんたちが……」

 「冥王星冥王星冥王星って千夏は言いますけどね、どうやって行けばいいっての!?」

 「それはほら、私たちをここまで連れてきた海賊さんたちの宇宙船で……」

 「あいつらはもう帰ったわよ! 盆だから!!」

 「宇宙にもお盆があるの!?」

 「当たり前じゃん!! もしお盆が無かったとしたら、いつ田舎に帰ればいいのよ!!」

 別にお盆は故郷への帰還日では無いだろうに。


 「じゃ、じゃあどこかから宇宙船を借りてですね……」

 「宇宙船なんて貸してくれる所なんてどこにあるのよ!!
  例えあったとしてもね、私たちなんかに冥王星なんて行けるわけがないのよ!!
  どうせトラブルが起こってまた地球に逆戻りよ!!」

 「お母さん……」

 さすがのお母さんも度重なる宇宙航海の失敗でいじけてしまったみたいですね。
 まあ気持ちは分からんでもないですが、大の大人がやる事ではないですね。

 「お母さん……えーっと、あのですね、実は私、黒い星の民の弱点を教えてもらったんです!!
  だからですね、冥王星にさえ着いちゃえばあとは簡単にパパパッと全部解決しちゃうんですよ!!
  だからもう一踏ん張りなんです!! 頑張りましょうよ!!」

 「え……なにその弱点って?」

 「えーっとですね、それは……」

 「なに? 言えない事だったりしちゃうわけ?」

 「……核弾頭50個の同時爆破らしいです」

 「そう。まあそれくらいなら家の地下倉庫にごろごろしてるけど、でもやっぱり宇宙船が無いとね……」

 「…………なんて言いましたかねお母さん?」

 わーい。本当に宇宙船さえあればどうにかなりそうだあ。
 …………一刻も早く宇宙船を手配しなければ!!



 8月8日 火曜日 「宇宙船なしで冥王星に行く方法」

 「はあ……しかしどうしたもんですかねえ。
  黒い星の民を倒せるかもしれないってのに、肝心の宇宙船が無いなんて……。
  また最初の方に戻ってきた気がしますよ」

 「……そうだ千夏!! 私、すごい事思いついちゃった!!」

 「え〜……? どうせお母さんなんかが思いつくすごい事って、NASAに宇宙船を強奪しに行こう的なものでしょう?
  しかもそれ、前にやったじゃんか」

 「違うわよ! そんなニューヨーク方式なんて取らないわ!!」

 別にニューヨークではNASAから宇宙船を強奪するのが風習みたいなのは無いでしょうに。

 「私たちは肝心な事に気づいて無かったのよ!!
  固定概念って奴? そういうのに邪魔されて大切な事を見落としていたの!!」

 「はい? つまりどういう事なんですか?」

 「だから私たちは、冥王星に行くためには宇宙船に乗って宇宙を旅しなければならないと思いこんでいた!
  だから何にしたって宇宙船が必要だと思っていた!!
  でもそれは大きな間違いよ!! 本当に必要なのは冥王星に行けたという結果であって、その過程の宇宙旅行なんてどうでもいいの!!」

 「いや……意味が分からないですよ。
  宇宙船が無くてどうやって冥王星に行くっていうんだ」

 「ふふふ……それはね、どこでもドアを使えばいいのよ!!」

 「……お母さん。もう一度お願いします」

 「だから、どこでもドアをね」

 「ちくしょうめ。聞き間違いじゃなかったか。
  あのですねお母さん……さすがにどこでもドアは無いと思うんですよ」

 「なんで?」

 「ドラえもんなんて存在してないからに決まってるでしょうが!!」

 もしこの世にドラえもんが居たら何億円したって大ヒットセールスな商品になるじゃないですか。
 まあ購入者の8割はドラえもんよりドラえもんのポケットが目当てなのでしょうけど。
 もっと詳しく言うとポケットの中に入っている道具一式なのだけど。


 「でもさ千夏。ロボットはこうしてちゃんと実在してるじゃない。
  だからきっとドラえもんもどこでもドアも存在しているはず」

 「なんて悲しい希望的観測なんですか。
  目も当てられんわ」

 よほど自暴自棄さ加減が脳にダメージを…………。


 「じゃあさ、例えばそのドラえもんが本当にいたとしてさ、どうやって私たちはあの人を探し出せば良いわけ?」

 「そりゃあもちろん、召還の儀式を行えばいいのよ」

 「知らなかった。この世にはドラえもんを呼び出す儀式があるんですか」

 それって本当にドラえもんですか? ただの悪魔か何かじゃないの?

 「とりあえずこうやって机の引き出しの近くにどら焼きを置いて……しばらく様子を見ましょう」

 「なんか野生動物を狩るトラップみたいですね。
  その儀式」

 どう見たってハンティングじゃないですか。


 8月9日 水曜日 「召喚完了」

 「さて……いったいどこから宇宙船を提供してもらえばいいんでしょうかねえ……。
  誰か持ってないかあ、宇宙船」

 なんとなくですけどマイケル・ジャクソンなら持っててもおかしくないですよね。
 本当になんとなくで物言ってますけど。



 ご覧の通り、私は今宇宙船をどうやって確保しようか計画を立てている最中でございます。
 さすがにお母さんみたいに机の引き出しの中からドラえもんが出てくる事を願って時間を潰す気にもならないんで。
 というか最近お母さんは本当にダメダメですね……。いや、前からお母さんはダメ一直線でしたけども、前はダメなりに積極性があったというのに。
 今ではただのダメダメ主婦ですよ。どっちにしたってダメなんですけど。



 「千夏千夏千夏ぅ!! ちょっとこっち来て!! 大変なの!!」

 「まったく……今度は何なんですかお母さん……?
  私の宇宙船入手計画立案の邪魔しないでくださいよ」

 「もうそんなチンケな計画練る必要なんて無いのよ!! だってもう万事オッケーだから!!」

 「え……? それってどういう……」

 「だから、ついにドラえもんを捕まえたの!!」

 「ドラえもんを捕まえた!?
  放せ! 今すぐ放してあげなさい!!」

 「いやよ。せっかく捕まえたんだから。
  少しは役に立ってもらえないと困るわ」

 っていうか本当にあんな方法でドラえもんが捕まるんですね。
 家に引き出し付きの机がある方はぜひお試しくださいな。



 「それで……そのドラえもんさんは?」

 「逃げないように柱に縛ってある」

 「万人が友達に欲しいと思っているロボットになんて事してるんだあんたは」

 恐れというのを本当に知らない女ですね。

 「と、とにかくです、そのドラえもんさんに会わせてください!!」

 「あっらー? 何よ千夏ちゃんったら。
  あなたの言い分ではさ、ドラえもんなんてこの世に居ないんじゃありませんでしたっけー!?」

 「ぐ、ぐぬぬぬぬ……」

 ここぞとばかりに攻撃して来やがって……。
 悔しいったらありゃいないですよ。
 私も結構ドラえもん好きなのに。
 特にポケットの付近が。

 「まあどうしてもって言うなら会わせてあげないでも無いわよ?
  でもそれにはちょっとした条件があるわねー」

 「じょ、条件ですか!?」

 「そう!! 千夏は今後私の事を唯一神春歌と崇め……」

 「あっちに縛ってあるんですね? じゃあ勝手に見に行っちゃいます」

 「ちょ、千夏ちゃん!? 普段ならここでもう一コントでしょう!?」

 お母さんと慣れあっている時間なんてありません。
 今はドラえもんの事が一番大事なのです。


 8月10日 木曜日 「新説ドラえもん」

 「ドラえもん!? どこに居るんですかドラえもん!?」

 お母さんが恐れ多くも捕まえてしまったらしいドラえもん。
 そいつを一目みようとさっきから家の中を探し回ってるのですが…………なかなか見つかりません。
 これはどういう事でしょうか?


 「まさか私……騙された?」

 お母さんが嘘をついたという可能性は十分あります。というか、そもそもドラえもんが実在しているという事自体が恐ろしく嘘っぽいですし。
 なんでドラえもんが引き出し付きの机付近にどら焼きを置いただけで来てくれるんだよ。何漁だ? ドラ漁だとでも名乗るのか?

 「くそう……よりにもよってお母さんなんかの嘘に引っかかってしまうだなんて。一生の恥だよホント。
  ……でもあのお母さんの喜びよう、とても演技には見えなかったのに……」

 いつの間にか嘘をつく技でも磨いていたんですかねえ。
 詐欺師にでもなろうとしていたんでしょうか。



 「……お嬢さん。なにそんながっかりした顔してるんだい?」

 「……おっさん。ひとんちでなにやってるんですか。
  勝手に不法侵入して勝手にタバコふかしてるんじゃありませんよ」

 「おっとすまねえなあ。なれない場所だから礼儀を忘れちまった」

 ……なんだかよく分かりませんけど、何故かドラえもんの代わりに変なおっさんが我が家にいました。
 これはいったいどういう事なのでしょうか。どこをどう間違ったら、こういう展開になるのでしょうか。

 ……いや、待てよ?



 「あのー、おじさん。いったいどこからこの家に入ってきたんですか?」

 「ん? そりゃああっちからだよ」

 おじさんが指差した方向にあるのは我が家の古い机のみ……。

 「おじさん、その口の周りに付いてるものはなに?」

 「ん……? ああ、さっき食べたどら焼きの餡が付いちまってたみたいだな」

 「…………突然でもうしわけありませんが、おじさんの名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 「俺か? 俺の名前はドラえも……」

 「やっぱりか!! やっぱりそういう事なのか!?
  というかあなたがドラえもんだなんて私は認めませんよ!!」

 「正確にはドラえもんの中の人だ。よくテレビとかに出てる着ぐるみの方の」

 「いない! ドラえもんに中の人なんていないの!!」

 というかなんてもん呼び出してるんですかお母さん。



 8月11日 金曜日 「新説秘密道具」

 「……」

 「……」

 「……」

 「……」

 …………私んちの居間で、黙ってお互いを見つめ合うお母さんと自称ドラえもんの中の人。
 なんですかこのくらくらと頭にくるようなお客様は。
 ここまで対応に困る来客はめったに無いと思います。



 「……やっぱりどう見てもドラえもんさんじゃないの。もう、千夏ったら変な子ねえ」

 「お母さん!? なに言ってんの!?
  この人をどこからどう見てもただのおじさんにしか映らないよ!!
  似てる所がかけらも無い!!」

 「そんな事無いわよ。
  だってほら……ちゃんと2本足で立ってるし」

 「そこを似ている箇所と主張するならば、全人類の9割は生きながらにしてドラえもんの物まねをしている事になりますよ」

 というかお母さん、もしかしてこの人をドラえもんだと言い張るつもりなんですか?
 無謀にも程がある試みですよそれは。

 「ほら、千夏もドラえもんさんって呼んであげなさい」

 「なんだよその再婚相手の事をパパと呼べ的なアプローチは」

 絶対に呼べませんからね。そのおっさんをドラえもんとは。



 「えーっと……ドラえもんさんは秘密道具をいっぱい持っているのよね!?
  それで空とか飛べたりいろんな事ができちゃったりするのよね!?」

 「ここまで形状が違うのにその基本設定は守らせるつもりなんですかお母さん……」

 「……ええ、まあいくつか秘密道具は持ってます」

 「ほらね!?」

 ……おっさん。無理すんなや。


 「じゃあさっそくドラえもんさんに秘密道具を見せてもらいましょう!!
  さあドラえもんさん! 千夏に目に物見せてくれちゃいなさいな!!」

 「ええっと、それじゃあこんなのはどうでしょうか?」

 がさごそと自らのポケットの中から何かを取り出そうとするおっさん。
 明らかにその姿はタバコを探している中年のそれであり、
 夢と希望の溢れるネコ型ロボットには見えません。

 「はいどうぞ。秘密道具です」

 「……えーっと、これは何なんですかおじさん? 気のせいか、リボルバー式の銃に見えるのですが?」

 「こいつは知人の警官に譲ってもらったものでして……」

 「なにそのヤバげな話!?
  これは秘密道具っていうか、秘密にしたいといけない道具ですよ!!!!」

 この血生臭さのどこがドラえもんか。



 8月12日 土曜日 「ドラえもんさんのお仕事」

 「お母さん……これからどうするんですか? あのドラえもんじゃどうにもなりませんよ」

 「ちょっとまって。今霊界ポストに手紙を書いている所だから」

 「今度は鬼太郎に頼むつもりなんですか!? っていうか鬼太郎に頼んだって冥王星には連れて行ってもらえないよ!!」

 「なんで!? 一反もめんとかいるじゃん!?」

 あれに宇宙航行用の性能は無いと思うんですよ。しょせん布のおばけだし。

 「じゃあやっぱりあれなの!? キテレツに頼むべきなの!?
  キテレツの家の住所は何!?」

 「知るわけ無いでしょがそんなもの。というかいい加減過去の名作マンガの力を頼ろうとするのはやめなさい!!
  もっと現実を見てよ!!」

 「くそうっ!! こんな夢の無い世界では、サザエさんに頼るぐらいが限界だって言うのっ!?」

 「サザエさんにも頼ろうとするなよ。冥王星に連れて行ってくれとか言われても困っちゃうぞ。波平さんとか」

 というかサザエさんもいねえよ。



 「ん……? なんだあんたら、冥王星に行きたかったのか?」

 「んだよ偽物ドラえもん。もうお前に用はないのよ。さっさとハローワークにでも行ってきなさいな」

 ひでえ言い方だなお母さん。自分で呼び出して捕まえたくせに、役に立たないと分かるとこれですか。
 もうちょっと責任とか取ってあげてくださいよ。拉致に近いことしたんだから。

 「冥王星ぐらいなら俺が連れてってやろうかい?」

 「え……? なに言ってるんですかドラえもん(偽)さん? そういうボケ、あまり面白くないんですけど?
  私たち真面目に悩んでいるんだから」

 「そうよ。寝言なら墓の中で言いなさい」

 永眠状態で寝言いわれたら霊現象でしょうが。

 「美味いドラ焼きもらったからお返しに連れて行ってあげようと思ったんだがなあ……やはり迷惑だったか?」

 「ちょ、ちょっとドラえもんさん!? もしかしてそれって本気で言ってるの!?」

 「そんな意味の無い嘘をついてどうするんだよ」

 「そ、それはそうですけど……でもどうやって!? どうやって冥王星まで連れて行ってくれるの!?」

 「そりゃあお前、俺の職場の仲間の力を借りてだな……」

 「職場!? ドラえもんの着ぐるみの中に居ることが仕事じゃないの!?」

 「あれはライフワークだ」

 ライフワークになるほど楽しいもんなのかあれは。

 「ち、ちなみにお聞きしたいのですけど、ドラえもんさんの本当の職業ってなに!?」

 「ダメ人間の介護でしょ?」

 「お母さん! ちょっと黙ってなさい!!」

 それは本物のドラえもんの職業でしょうが。
 …………いや、違うか?



 「俺の本当の仕事は……」

 「本当のお仕事は!?」

 「銀河鉄道の駅員です」

 「うわー!? マジですか!? 冥王星なんて楽々じゃん!!」

 …………っていうか、本当に過去の名作マンガ的な力でどうにかなっちゃうんですか。
 あんなにいろいろ苦労してたのに。









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