9月5日 日曜日 「アウグムビッシュム族の絵本1」


 昔々、ある所にアウグムビッシュム族という一族がいました。
 彼らの部族は『星の民』と呼ばれる神様と一緒に暮らしていました。

 彼らはこの世界で一番、神様に近い者たちでした。


 アウグムビッシュム族は星の民の力を分けてもらい、
 自分たちの生活をより良いものにしていきました。

 金属で作られた身体で、失った肉体を補う技術を得ました。

 感情の変化や記憶を他人と共有することで、誤解やすれ違いを防ぎ、
 争いを起こさない技術を得ました。


 アウグムビッシュム族は星の民のおかげで、ずっとずっと平和に暮らしていきました。

 


 そんな日々続いていた頃、アウグムビッシュム族の中に1人の青年がいました。
 彼は星の民の力をもっと解明しようと思い、毎日勉強ばかりしていました。

 青年はその勉強の日々の中で、別の可能性の世界『パラレルワールド』の存在と、
 その別の可能性へと進んだ世界を自由に切り貼りして繋ぎ合わせ、
 自分の好きな世界に作り変える『神様の積み木』理論を提唱しました。

 星の民は驚愕しました。
 青年が提唱した『神様の積み木』とは、
 星の民が隠していた力、そのものだったからです。

 星の民は青年の才能に恐怖しましたが、直接手を下すことはしませんでした。
 アウグムビッシュム族を自分たちの保全のために傷つけるのは、
 とても愚かなことだと思ったからです。
 それに青年が『神様の積み木』の存在に気付いたとしても、
 それを自分の力にすることなど出来るわけ無かったのです。

 

 星の民たちの思ったとおり、青年の提唱した理論が現実のものとなることは無く、
 何年もの月日が流れました。

 青年は立派な大人となり、素敵な女性を婚約者にしました。
 彼は幸せな未来を順調に歩んで行っているように見えましたが、
 それは長くは続きませんでした。

 

 

 

 ……なんなんでしょうか? 昨日もらった絵本。
 明らかに子ども向きの話じゃない気がするんですけど。
 しかも挿し絵がなんだかグロくて怖いです。

 とりあえず、気持ち悪くなってきたので今日はここら辺で読むのを止めにします。

 

 

 9月6日 月曜日 「アウグムビッシュム族の絵本2」


 気味が悪い絵本ですが、物語の続きが気になるので、
 昨日の所から読ませてもらいます。

 

 青年は女性と結婚してからも、勉強を欠かしませんでした。
 むしろ前よりもっと熱心になっていきました。
 すべては『神様の積み木』の力を手に入れるためでした。
 青年は女性のために、病気も飢えも争いも無い世界を作ってあげたかったのです。

 女性は、重い病気だったのです。


 
 しかし青年が『神様の積み木』の力を得ることは無く、
 月日が流れました。

 女性は青年が勉強をしている間、何度も病気の発作に襲われました。
 身体を襲う苦しみに耐えている間、ずっと青年の名を呼び続けましたが、
 青年は一度も彼女の床に来てくれませんでした。
 時間を無駄にするわけにはいかないと、青年は思っていたからです。

 

 ある日、女性が一族の集落の近くにある森へと散歩に行ったとき、
 彼女は病気の発作に襲われました。
 必死で誰かに助けを求めようとしましたが、発作のため声が出ません。
 助からない。そう彼女は思いました。


 しかし運の良いことに、その場に1人の星の民が通りかかったのです。
 その星の民はすぐに女性が重い病気にかかっていることを見抜きました。
 そしてその星の民は


 禁忌を犯しました。

 

 あろうことに、星の民の間で絶対に使ってはならないと言われていた
 『神様の積み木』の力を女性に使ったのです。

 女性は『彼女が病気にかかっていなかった可能性の世界』とリンクし、
 存在を書き換えられました。
 病気は消えて無くなり、健康な人よりもっと元気になりました。

 女性は助けてくれた星の民に心より感謝しました。
 そして女性は星の民に

 恋心を抱きました。

 


 終焉の物語が始まりました。

 

 

 ……三角関係の物語なんですか。
 絵本でやることじゃないでしょ。

 今日はここで止めときます。
 なんだか見てるのが辛いんです……。

 

 

 9月7日 火曜日 「アウグムビッシュム族の絵本3」


 星の民に病気を治してもらった女性は、
 その事実を青年に言うことはありませんでした。
 星の民に『神様の積み木』の力のことを黙っているように言われたこともありますが、
 なにより一生懸命になって勉強に打ち込んでいる青年を見ると、
 何も言えなくなってしまうのです。

 青年が『神様の積み木』を求めて勉強している間、
 女性は何度も助けてくれた星の民と隠れて会いました。
 心の中ではいけないことだと思っていたのですが、どうしても止められなかったのです。


 ある日、一つの噂が青年の耳に入りました。
 女性が見知らぬ者と逢引しているというものでした。
 青年はまさかと思いながらも、
 出かけていく女性の後をこっそり追いました。


 青年が集落の近くで見た光景は、
 星の民と共に笑いあう女性の姿でした。
 その笑顔は青年が見たことも無いほど、とても綺麗なものでした。


 ショックのあまり青年はその現場に立ち入ることも出来ず、
 重い足取りで家に帰っていきました。
 彼の心の中では、困惑と憎悪が渦巻いていました。

 女性が家に帰ってきてすぐに、
 青年は彼女を問い詰めました。
 女性は今まで見たことが無いほど激昂している青年に驚きながらも、
 星の民との間に何があったのかを申し訳なさそうに話しました。


 その話の中で、青年は『神様の積み木』の存在と、
 女性が星の民に恋心を抱いているということを知りました。

 青年は酷くうろたえました。
 自分が今まで多くの時間を費やして、
 それでもなお形にすらなっていない『神様の積み木』を
 星の民が簡単に使えること。
 そして何より愛していた女性が、自分以外の者を好きになったこと。
 この二つの事実は、青年から存在意義と生きる目的を奪うものでした。

 彼は耐え切れず、家を飛び出して星の民の元へと走りました。

 

 青年は星の民の元にたどり着くと、
 女性のことと『神様の積み木』のことを問い詰めました。

 彼女の存在を書き換えた時に、同時に女性の深層心理まで書き換えて、
 自分になびくようにしたのではないか。
 そう青年は詰め寄りました。

 星の民はその言いがかりを否定することは出来ませんでした。
 彼ら星の民が『神様の積み木』の力を使おうとしないのには理由がありました。
 一部分でも世界を作り変えてしまえば、それに引っ張られるように、
 他の部分にも影響が出てしまうことがあるのです。
 それを確かめるすべはありませんが、
 『神様の積み木』が女性の心に影響を与えなかったとは、どうしても言えないのです。


 黙ったままで一向に何も言い返してこない星の民に青年は怒り、
 懐に隠していたナイフを取り出し、襲いかかりました。
 彼は星の民を斬りつけようとしますが、星の民の自動展開型のバリアに阻まれ、
 傷一つ負わすことは出来ませんでした。

 青年はすぐに他の星の民に取り押さえられ、
 アウグムビッシュム族の集落へと送り返されました。

 

 アウグムビッシュム族の掟では、星の民を傷つけようとした者は
 辺境の地へと永久追放されてしまいます。
 青年もその掟にしたがって、集落を追い出されてしまいました。

 女性はその出来事に酷く心を痛め、一人家に残って彼の帰りを待ち続けることにしました。
 彼女を助けた星の民も自分の浅はかな行動に反省し、
 二度と人間の目の前に現れないことにしました。

 そして誰もがこの事件は終わったものだと思い、
 平和に暮らしていきました。

 

 何年もの月日が流れ、青年が集落に帰ってくるまで。

 彼が『神様の積み木』の力を物質化した物、
 『暁と黄昏の器』を持ってくる、その時までは。

 


 ……今日はここまでにします。
 何故か、酷く心が痛いです。


 

 9月8日 水曜日 「アウグムビッシュム族の絵本4」


 アウグムビッシュム族の集落に青年が帰ってきました。
 傍らに1人の少女を連れて。
 族長が彼女のことを尋ねると、
 彼女は器である。そう言うだけでした。


 女性は、青年が集落に帰ってきたことを知ると
 すぐに彼の元へと向かいました。
 一刻も早く彼に会って、そして謝りたかったのです。

 しかし、青年は女性のことなど憶えていないかのように、
 無視して通り過ぎていきました。
 女性は悲しみました。
 青年の態度が冷たかったことは、納得できます。
 自分の犯した過ちを、許してくれないのだろうということなのでしょうから。

 その悲しみのため、女性は気付きませんでした。
 青年の瞳の奥にある、どす黒い怨念の存在に。

 

 青年は集落の広場にたくさんの人々を集めました。
 彼は皆に言いました。
 星の民の、全ての力を手に入れた、と。
 そしてその力で、アウグムビッシュム族が星の民に頼らずとも
 生きていけるようにしてやる、と。

 

 青年は広場に祭壇を作り、『器』と呼ばれた少女を横たえました。
 これから『神様の積み木』の力を使う。そう彼は言いました。

 そして彼は、何の躊躇いもなく、少女の右腕を踏み潰しました。
 広場に居た全ての者たちが、突然繰り広げられた残虐な光景に言葉を失いました。
 驚きのあまり、青年を止めようとすることさえ誰も思い浮かびませんでした。
 少女の悲鳴だけが、その場に響きました。

 その光景を間近で見ていた女性は、我に返り、叫びました。
 なぜ、こんな酷いことをするのだと。

 青年はその叫びなど、虫の羽音のようにしか感じていないように、
 今度は少女の右足を踏み潰しました。
 彼は、まるで独り言のように呟きだしました。


 バラバラに、砕けた心が、何処に散るか、知っているか?
 身体が弾けるほどの痛みと、自分を殺したくなるほどの絶望が、
 連れて行く、世界を見たことがあるか?
 私は、知っているぞ。
 私は、その世界を、知っているぞ。

 

 まるで呪詛のようなその言葉は、青年の経験したことなのだと、
 女性は理解しました。
 愛する者に裏切られ、そして辺境の地をさまよいながら味わった苦しみを、
 表しているものだと知りました。

 彼は言葉を続けます。


 このガキの、脳を、弄くって、やった。
 感じる痛みを、倍にしてやった。
 常人なら心を壊す痛みでも、気を失わないように、してやった。
 絶望と、痛みが、心を砕く。
 砕かれた、心の破片は、歪みを、作るんだよ。
 歪み、だよ。歪み。
 人の、心が、世界に、歪みを、作るんだよ。
 歪まないと、さ、うまく、器が、動かない、んだよ。
 つるつるの、表面、だと、うまく、ひっかからない、だろ?
 でこぼこ、してないと、さ、うまく、つかめない、じゃ、ないか。
 なあ、わかる、だろ?


 青年は少女の左手を、踏み潰しました。

 

 ちなみ、に、さ、器、何処に、あるか、教えて、やろうか?
 この、ガキ、の中に、ちゃんと、入れて、やったんだぜ。

 「もうやめて」
 女性は両手で耳を塞ぎました。

 子宮、だよ。子宮。
 俺が、腹、開いて、入れて、やったんだ。

 女性は、青年はすでに壊れてしまったのだと、悟りました。
 自分が壊したのだと、知りました。


 神様の積み木、で、まず初めに、何して、やろうか?
 あの、星の民、どもを、一匹残らず、消し去って、やろうか?
 なあ、どうしたい?
 なんでも、出来るん、だぜ?


 青年は少女の左足を、踏み潰しました。


 女性は、意を決して青年に言いました。
 昔のあなたに戻って欲しいと。
 優しくて、まっすぐだったあなたに戻って欲しいと。

 

 青年は尋ねました。
 本当に、それでいいのかと。
 女性は、深く頷きました。


 青年は神様の積み木の力を使い、昔の自分へと戻しました。
 彼は、憑き物が落ちたかのような表情で、周りを見渡しました。
 そして、血だらけの自分の身体を見て、
 叫びました。


 女性は知りませんでした。
 彼がどうやって辺境の地を生き抜いていたのかを。
 1人で生きるすべを持たない青年が、生き抜くために、
 見知らぬ人間を殺して、物を奪っていたことを。

 彼が心を壊したのは、耐え切れぬ罪悪感から逃れるためだったのです。

 


 青年は押し寄せてきた罪悪感に耐え切れず、自ら命を絶ちました。
 女性は彼の死体を抱きしめ、泣き続けました。

 その光景を、四肢を失った少女が
 黙って見詰めていました。

 


 ……気分が、悪いです。
 何度か吐きそうになりました。

 まだ、物語は続くみたいです。
 もう読みたくありません。

 9月9日 木曜日 「アウグムビッシュム族の絵本4」


 喉を潰された。
 もう声は届かない。

 目をくりぬかれた。
 もう光は届かない。

 耳を削がれた。
 肌を焼かれた。


 なにより心を砕かれた。
 私には、もう何も届かない。

 


 女性の目の前で少女がそんな歌を歌います。
 青年が生きていた時に聞かせてくれた歌だと少女は言いました。
 女性はその歌を聞いて、
 泣きそうな顔をしました。

 


 四肢を失った少女は、アウグムビッシュム族の技術で、
 金属で出来た手足を手に入れました。
 そして彼女は、青年の犯した罪を償うと決意した女性と
 共に暮らすことになりました。

 他のアウグムビッシュム族たちは、
 一族以外の人間を迎え入れることをよく思いませんでしたが、
 女性の必死な説得に負けて、渋々ながらも少女のことを受け入れたのです。

 

 少女の治療が終わると同時に、星の民が彼女を訪ねて来ました。
 星の民は青年が帰ってきて、神様の積み木の力を使ったことを知っていました。
 そして、少女の中に『暁と黄昏の器』と呼ばれる物が存在していることも知っていました。

 星の民は、
 その器は人が持つべき物ではない。
 私たちに預けなさい。
 そう言いました。


 青年が作った物なのか、
 それとも辺境の地で手に入れた物なのかは分かりませんが、
 星の民は『暁と黄昏の器』に恐怖と興味を抱いていました。
 是非、自分たちの手元に置いてよく調べてみたかったのです。

 

 少女から『暁と黄昏の器を』取り出すために、
 星の民が彼女の身体を調べました。
 少女の身体を調べ終わると、
 付き添っていた女性に言いました。


 『暁と黄昏の器』は取り出せない。
 この器には、罠が仕掛けてある。
 我々星の民が触れれば、『神様の積み木』が作動して、存在を殺す。
 こんな代物、青年が仕掛けた物だとは思えない。
 我々星の民と同等以上の存在しか、こんな罠、仕掛けられない。

 

 星の民は困りました。
 『神様の積み木』の力を持つ器を、
 人間の手にずっと預けていなければならないのです。
 人の心の弱さは、星の民はよく知っていました。
 この前の青年のようになってしまうのではないかと思うと心配でした。


 星の民は女性に問いました。
 永遠という絶望しか感じぬ時間の中で、
 この少女と、『暁と黄昏の器』を守らないかと。


 女性は頷きました。

 彼女は、人の体を捨てました。
 代わりに、何よりも強い鋼の身体を貰いました。

 

 そうして、女性と少女はずっと仲良く暮らしていきました。


 END

 

 

 ……とりあえず、この絵本はここで終わっています。
 理解に苦しむ内容です。
 ハッピーエンドなのか、そうでないのか全然はっきりしません。
 ただ、酷い話だというのは分かりました。

 私はこの絵本を本棚にしまいました。
 多分、もう二度と読むことはありません。

 

 

 9月10日 金曜日 「びっくりパーティー」


 「ああ、忙しい、忙しい」

 お母さんがそんなこと言いながら、慌しく家の中を走ってます。
 っていうかなんだかそんなセリフを言ってる人間は、余裕があるように思えるんですが。

 「お母さん、どうしたの?」

 「実はね、びっくりパーティーをやろうと思ってるの。
  だから準備で忙しくてね」

 びっくりパーティーって、主役に気付かれないように準備して
 ……ってやつですよね?

 「え? なんでパーティーなんか?」

 「最近、千夏の元気が無かったから、皆が心配してね……。
  私たちに出来ることはないかと話し合ったら、
  リーファちゃんがパーティーを開いたらどうかって」

 「そうだったんですか……」

 確かにイヤな絵本を読んで落ち込んでいましたからね……。
 それにしてもリーファちゃんがそんなこと考えてくれてたなんて。
 ……少しリーファちゃんを見直しました。

 


 ……っていうか、

 「びっくりパーティーなら、なんで私に話しちゃってるんですか!!!!」

 「あ、しまった!!」

 アホか、おかん。


 「ち、千夏? 今の話、忘れてくれないかしら?」

 「そんな都合のいいこと出来ませんよ……」

 うわぁ……すごい気まずい。
 喋ったお母さんが絶対的に悪いはずなのに、
 私もなんだか罪悪感を感じちゃいますよ。


 「千夏……お願い、忘れて頂戴」

 「お、お母さん、そのハンマーは何?」

 「……『記憶消失機』〜」

 そんなドラえもんの道具みたく……。

 「バカなことやめてください!!」

 「それじゃ、『ロストメモリーアタックツール』〜」

 「違う!! ハンマーに変な名前を付けるのを止めろって言ってるんじゃない!!」

 付け直しても変な名前だし。

 

 


 「お願い、パーティーが始まったら驚いてね?」

 「はい……頑張ります」


 なんとかお母さんを説得して、頭を陥没させる危険が無くなりました。
 その代わりちゃんと驚かないと。
 パーティーは明日らしいです。

 「わあ〜、びっくり〜」

 練習したけど、ダメでした。
 あはは……。


 

 9月11日 土曜日 「燃えよパーティー」


 「うわぁ、すごおぉい!!!」

 私のそんな三流リアクションで始まった、
 びっくりパーティー。
 美味しそうな料理やケーキを食べ、様々なゲームをして楽しみました。


 「じゃあ、三番が一番を性感マッサージ」

 「おい、それはさすがにまずいだろ」

 「それじゃ、カールを両端から食べ……」

 「それって最初の時点でキス状態じゃないですか」

 


 ……って、お母さん!!
 王様ゲームかよ!!!
 なんで私のためのびっくりパーティーが合コンちっくに展開していくんですか?
 あれですか? 私がそれで喜びそうだと?


 「三番と一番だあれ?」

 進めるな。
 そのまま進めようとするな。


 「三番は俺だけど……」

 ああ、そうなんですかウサギさ……

 「一番は私です!!!」

 ……悪いですか?
 急にノリノリになって。

 

 「ウサギさん、優しくしてくださいね」

 「いや、そう言われても心底困るんだけど」

 もう、ウサギさんったらウブだなぁ。

 「さあ、どうぞ、じゃんじゃんジャーマンスープレックスをやっちゃって……」

 え!? お母さん!?
 いつから命令がプロレスの技をかけることに変更されてるんですか!?

 「千夏、下手に動くなよ。力加減を間違えそうだから」

 「ウサギさん!! ちょっと、待って……」

 

 ギャー!!!

 

 


 「じゃ、気を取り直してビンゴやりましょうか」

 「わあ〜、すげえ進行の仕方。傷ついた私には何のフォローもなしですか?」

 「賞品はみんなで持ち寄った物なのよ?」

 「無視か、そうなのか?」

 「ちなみに私が持ってきた賞品は、新商品のうまい棒(ボール状)50個です」

 棒じゃないんですか?
 食べにくそうだろ、ボール状だと。


 「それじゃ、ビンゴを始めまーす。
  まず、32番〜」

 えっと、32番ですか。
 あ、ありましたよ。


 「ビンゴです」

 「嘘つけ黒服!!!」

 一回目でビンゴになるわけ無いじゃないですか!!!

 

 で、92回目の番号でようやく私はビンゴすることが出来ました。
 ……いくらなんでも遅すぎです。

 「はい、それじゃ千夏にはリーファちゃんからのプレゼントを贈ります」

 「わ〜い」

 リーファちゃんのプレゼントって言うのはちょっと不安ですが、
 貰えるってのは素直に嬉しいです。

 「はい、どうぞ千夏お姉さま」

 「うん、ありがと……」

 リーファちゃんのプレゼントは……

 「暗殺券!?」

 暗殺拳と暗殺券をかけてるんでしょうか?

 「気に入らない人がいたら、いつでもどこでも暗殺してあげます」

 なんて物騒な。
 しかもリーファちゃんだから成功率は低そうだし。

 

 

 まあ、なんていうか、それなりに楽しめました。
 皆さん、ありがとうございますね。

 

 「さあ!! 締めはキャンプファイアーよ!!!」

 「そんなの家でやるなよ!!! 飛び火して火事になるでしょうが!!!」


 


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