9月26日 日曜日 「マゾ企画終了」



今日はコレをやってましたよ。
死にかけましたよ。

 9月27日 月曜日 「最速機甲『ファースト・フード』」


 「さあ今こそ我らの最終兵器、『デリバリーバーガー』と
  フュージョンするんだ!!」

 やけに美味しそうなネーミングな巨大ロボットの前に、
 司令官風な格好をしているウサギさんが立っています。

 ……なんですか? この状況は?


 「う、ウサギさん……いつからそんなコスプレ趣味が……?」

 「ち、違う。それは誤解だ」

 「もしかして、そういうプレイがお好きだったんですか?」

 わ、私は、理解がある子なので、
 ウサギさんのありのままを受け入れてあげますよ?

 「だから、違うって。
  夢、なんだよ。これは」

 「え!? これって夢!?」

 確か24時間企画をやったあとにも変な夢を見ましたけど、
 まさか今度も……。

 

 「という訳で千夏」

 「はい? なんですか?」

 「突如日本に攻めて来た、『超生命体ハハー』を倒すために、
  この巨大ロボットに乗って戦うんだ!!」

 またお母さんが敵なんですね……。


 「了解しました。
  『チキンナゲット』に乗って戦います!!」

 「違う。『デリバリーバーガー』だ」

 どっちでもいいじゃないですか。

 


 巨大ロボット『テリヤキソース』、もとい『デリバリーバーガー』に乗り込んだ私は、
 いつの間にか超生命体に進化してたお母さんを撃退するために出動します。


 「ウサギさん、どうやって目的地まで行くんですか?
  やっぱり、こうゲートがガシャンって開いたり……」

 「ワープで」

 「すっごいお手軽かつ最高な移動手段ですね!?」

 でもなんだか味気なさ過ぎだと思うんですけど。
 ロマンというか、そういう物が足りないような……。


 「今からワープの方法をレクチャーするのでよく聞いておくように」

 「はい、分かりました」

 「まずコックピットに備え付けられている日本地図を広げる」

 「ここら辺はナビゲーションシステムだとか、
  そんな最新な物にできないんですか?」

 「次に、同じく備え付けられているダーツの矢を持ちます」

 ……え!?


 「う、ウサギさん?」

 「目をつぶってダーツの矢を地図に……」

 「ワープの到着点は運まかせなんですか!?」

 そんなんでお母さんに辿り着けるの?

 

 「さあ、行くんだ千夏!!」

 「ウサギさん……」

 「……いや、俺もおかしいと思ってるんだけど、
  仕方、ないじゃないか」

 そうですね。
 夢だし。

 

 「どうか、お願いします!!
  お母さんの所にワープ!!」

 思い切って日本地図にダーツの矢を投げつけます。
 その瞬間、『ビッグミルクシェイク』もとい『デリバリーバーガー』の全身が光に包まれ、
 消えていきました。
 どうやら、ワープは成功したみたいです。
 お母さんの元へと行けるかどうかは分からないんですが。


 10秒ほど経つと、ロボットの視界を映し出すモニターに、
 見知らぬ風景が映ります。

 白い砂浜と、エメラルドグリーンの海が。

 

 ……ここって、行ったこと無いんですけど、
 多分ハワイですよね?

 

 「なんで、日本地図に矢を投げて、
  ハワイに刺さるんですか!?」


 当然ながら、お母さんの姿は見えません。

 

 ○次回予告

 ついに母の元へ辿り着いた千夏は、惨状を目にし絶句する。
 怒りに震える千夏は、『デリバリーバーガー』の最強モード『デス・ランチタイム』を発動した。
 だがそれは、肉体の崩壊を促す諸刃の剣だった!!

 第24話『千夏、死す』
 次回もこの時間に、スーパーフュージョン!!

 

 ……ええぇ!? 次、私は死ぬの!?
 デス・ランチタイムってなんだよ!!
 っていうかまた夢の中のままなの!?

 ……早く、夢から醒めて。

 

 

 9月28日 火曜日 「第24話『千夏、死す』  いや、死なないってば」

 

 〇前回のあらすじ

 千夏はバーガーでワープしてハワイアンな状況なのだ!!

 

 全然、理解されないあらすじなんですけど。
 まあいいです。
 そんな細かいことは、今は関係ないんです。

 『デリバリーバーガー』にあった日本地図に、
 ダーツの矢を投げつけること実に85回。
 ようやく私の目の前に、戦場らしき荒れ果てた風景が広がりました。


 「や、やっと着いた……」

 「遅かったわね千夏!!
  もうすでにこの街は火の海よ!!」

 「お母さん!! どこにいるんですか!?
  姿を見せなさい!!」

 おおう、なんだか盛り上がってきますね。


 「今はすっぴんだから駄目」

 「へ!?」

 これでもかって言うぐらい、
 熱い展開を踏みつぶされてしまいましたよね?


 「別に化粧して無くてもいいじゃないですか!!」

 「何もしなくても鮮度の高い小学生が、
  知ったような口を聞くんじゃないわよ!!!!」

 長年親子やってきて、一番激しく怒らないでください。
 若さへの妬みで。


 「あの〜お母さん?
  出てきてもらわないと、いろいろ困るんですけど」

 「私に会いたければ、まず四天王を倒すことね!!」

 お母さんって、四天王になってくれる人がいるほど人望あったんだ?
 そこに、ちょっと感動。

 

 「四天王の一人目!!
  佐々木さんちのおじいちゃん!!」

 「ふがふが……どうも」

 「誰だよ!!」

 そして年寄りを戦場に連れ出すな。


 「若い頃は名の知れた剣士だったのよ。
  四天王の中の四天王。
  『One Of The 四天王』と呼ばれて……」

 4つなのか、1つなのかよく分からないですね。


 「さあ、いざ勝負……」

 グチャ。

 踏みつぶしました。


 「ひどっ!! 千夏ひどっ!!
  この人殺し!!」

 いいじゃないですか。
 どうせこれ夢なんだし。

 

 「さあ、二人目は!?」

 どんどん来いってんだ。


 「四天王二人目〜、田中さんちのおばあちゃん!!」

 「また年寄りなんですか!?」

 お母さんの、人脈が知りたいです。


 ○次回予告

 全ての四天王を倒した千夏は、ついに超生命体ハハーと対峙する。
 しかし!! 千夏の目の前に現れたハハーの正体を知ったとき、千夏の心に衝撃が走る!!
 第25話『ハハーの正体』
 次回もこの時間に、スーパーフュージョン!!

 

 ……正体、お母さんでしょ?
 何を今さら衝撃の事実風に……。


 

 9月29日 水曜日 「第25話『ハハーの正体』 いや、だからお母さんでしょ?」


 高齢者を踏みつぶすこと計4回。
 これで四天王は全て倒しました。

 ……さすがに夢だといっても気ぃ悪いです。


 「お母さん……全員倒しましたよ」

 さっさと出てきてください。


 「ふはははは!!
  四天王なんて、実はただの時間稼ぎだったのよ!!」

 化粧のでしょ?
 知ってますよそんなこと。


 「今こそ私の姿を見せてあげるわ!!」

 お母さんがそう叫ぶと同時に、
 地面が揺れ、大地が裂けます。
 なんて、お金がかかりそうな演出なのでしょう。

 「うわっ、ちょっ、テーブルの下に避難……」

 あれ? もしかしてコレ、お母さんの演出じゃないんですか!?


 「ガハハハハ!!
  ついに、我の封印が解き放たれたぞ!!」

 なんとなく、すごく悪そうな声が辺りに響きます。


 「誰ですか!?」

 「田中さんよ!!
  田中さんのおばあちゃんの霊が……」

 うるさいぞお母さん。

 「そうそうそう、踏みつぶされた恨みをはらすために、
  地獄の底から這い上がって……ってなんでやねん!!」

 「「……」」

 ノリツッコミしましたよね? この人。


 「お前たちが散々放出していた負の感情が、
  千年前に封印された悪魔を呼び出すとは、なんたる皮肉であろうか!!」

 普通に、話を進めようとしてますよ?

 「なんてことなの……私たち人間が戦いあっていたことが、
  人類全体の首を絞めていることに繋がっていたなんて……」

 お母さんも、さりげなくテーマっぽい物を織りまぜないでください。
 あと、お母さんって超生命体って設定なんでしょ?


 「今こそ、我の姿をとくと拝め!!」

 ものすごい爆炎と共に、(多分)ラスボスが姿を表します。
 やはりラスボスだけあって、私の乗っている『デリバリーバーガー』よりも
 二倍ほど大きいです。

 

 「ふはははは!!
  どうだ、あまりの恐ろしさに声も出まい!!」

 これは本当にヤバイかもしれません。


 「田中さんちのおばあちゃん……こんなに立派になられて」

 お母さん、違いますってば。

 「そうそうそう、やっぱりロボットに踏み潰されたから、
  こうビローンって伸びちゃって……ってバカ!!
  そんなことあるわけ無いだろ!!」

 「「……」」

 また、ノリツッコミ……。


 「さて、それではまず手始めにお前たちを……」

 「心ゆくまでもてなしてくれるのよね?」

 「そうそうそう、私のたっぷりと愛情のこもった料理で……」

 「いちいち乗るのは止めてください!!!」


 話が、進みません。

 

 ○次回予告

 千年の時を超えて蘇った悪魔。
 その戦闘力は計り知れないものだった。
 次々と倒れていく仲間たち。その光景を見て、千夏はついに禁断の合体変形を決意する!!

 第26話「神速合体、オメガティックフュージョン!!」
 次回もこの時間に、スーパーフュージョン!!


 ……っていうか私、いつまで寝てればいいんですか?
 そろそろ学校の方が心配なんですけど。


 

 9月30日 木曜日 「第26話『神速合体、オメガティックフュージョン!!』 もうなんでもありですね」

 

 「そうそうそう、こう裏返しにしてね……って俺はトンボかよ!!」

 また、悪魔がノリツッコミしています。
 いい加減、うざいんですけど。


 「まずお前から焼き尽くしてくれるわ!!」

 そして、ツッコミした後に、すぐに正気を取り戻して話を進めようとしないでください。
 蛇行してる展開に、ついていけないんですけど。


 「やれるものならやってみてください!!
  相手になってあげますよ!!」

 さっさとこの夢を終わらせたいですし。

 「そうそうそう、あなたが私の相手に……」

 「今のはボケじゃないですよ!?」

 もう何に反応してるんだか分かりません。


 「とりあえず、死ね!!」

 「うわぁ!? また急に話を戻しやがって!!」

 おかげでまともに攻撃を喰らってしまいました。

 

 「うう……これでこの夢も終わりですね」

 ハッピーエンドじゃないことが残念ですが、
 現実に戻ることができるなら本望です。

 「きっと、現実ではウサギさんがまた心配してるんだろうな……」

 ……待ってくださいよ。
 確か、前に夢の中で大冒険した時は、
 ウサギさんがキスで起こしてくれる手前で目が醒めたんですよね?

 ……もう少し、夢の中で粘った方が、確実にキス出来ますよね?


 「うおおぉ!! こんなところで、負けてたまるかぁ!!」

 自分でもどこにそんな力があったのかと思うくらいの勢いで立ち上がります。 煩悩パワーとか、言うな。


 「ほほう、なかなかやるようだな。
  しかし、お前程度のパワーでは、私を倒すことなどできまい?」

 「くっ……私はどうすれば」

 「千夏お姉さま!!」

 「リーファちゃん!?」

 突然聞こえてきたリーファちゃんの声にびっくりして、
 声のした方向を向くと、
 そこには私が乗っているのと同じような巨大ロボットが。
 多分、リーファちゃんが乗っているのでしょう。


 「リーファちゃん、そのロボットは!?」

 「新発売のおもちゃ……もとい、
  お姉さまのサポートロボットです!!」

 ああ、そういうテコ入れですか。

 「さあお姉さま!!
  このロボットと合体して心中合体『カミカゼボマー』に!!」

 ちょっと、待ってください。

 「り、リーファちゃん……
  なんだかソレ、すごく不吉な名前じゃない?」

 「そうですか?
  気のせいだと思いますけど」

 「ちなみに、そのカミカゼボマーになったら、
  どういう特典が?」

 「黙祷されます」

 「死ぬの確定!?」

 やっぱり自爆なんでしょうか?


 でもまあよく考えてみれば、ただの夢なんで、
 拒否する理由はあまりなかったりするんですが……。


 「お姉さま!!
  何を躊躇してるんですか!!」

 「はいはいはい、
  分かりましたよ」

 もうちょっと夢の中で粘りたかったんですけどね……。


 「それじゃ、心中合体!!
  オメガティックフュージョ……」


 ……
 …………
 ………………


 「リーファちゃん、これ、本当に夢?」

 「ええ、夢ですよ。
  まぎれもなく、現実世界には何の関係も無い、
  死んだってどうってことない、夢ですよ〜」


 「……ご、ごめん。やっぱり止めとく……」

 「そんな!! なんでですかお姉さま!?」


 だって、リーファちゃんがすごく笑顔なんだもん。
 もしかして、これは夢じゃなかったりするんですか?


 

 10月1日 金曜日 「夢の終わり」


 ……気づくとそこは、真っ暗な世界。
 私はそこで仰向けで寝ています。
 どうやら私、目が醒めちゃったみたいです。

 ……なんて中途半端に終わってるんですか!!
 しかもウサギさんにキスされてないし!!

 っていうか、ここは何処なんでしょうか?
 私の部屋ではなさそうですし……。


 ガンッ

 起きあがろうとしたら頭をぶつけました。
 もしかして、ここって箱の中?
 なんでこんな所に私がいるの?


 「本日はまことに……」

 箱の外から、お母さんの声がします。
 気のせいか、誰かのすすり泣く声が聞こえます。
 これって……

 「それでは、出棺!!」

 「出棺!?」

 間違いなくお葬式ですよね!?
 っていうかここって棺桶の中!?

 

 大急ぎで棺桶から飛び出します。

 「ちょっと!! 私は死んでませんよ!!」 

 生還した私をお母さん、ウサギさん、リーファちゃんが迎えます。
 っていうか拝んでます。

 「あ、なんだ千夏。生きてたのね」

 「お母さん……なんば言うとね?」

 多分あなたが元凶でしょ? ねえ?


 「まあなんにせよ良かったじゃない、生きてて」

 「……」

 そう、この感情が殺意なんですね?

 「千夏、本当に生きてて良かったよ」

 「あ、ウサギさん……」

 心配してくれてたんですね。
 少し嬉しいです。

 「妙な心配かけさせないでくれよな」

 「あう、ごめんなさい」

 「まあ無事みたいだからいいけどさ……」

 

 「うっ、うううっ、千夏お姉さま……」

 「リーファちゃん!? なんで泣いてるの!?」

 もしかして心の中では私のことを……。

 「リーファちゃん、私……」

 「ううっ……うがー!!」

 「うがー!? うがって何ー!?」

 リーファちゃんが私の腕に噛み付いてきます。

 「お姉さまは私が殺すんです!! それまでは死んじゃったらダメなんです!!」

 「り、リーファちゃん?
  私はそんなどこか古い殺伐としたライバル関係は結びたくないんですが……」

 とりあえず、腕放して……。


 

 10月2日 土曜日 「ピラミッド」


 「今度、うちの町の町おこしとして、
  役場の隣に巨大なピラミッドを造ることになったらしいの。
  知ってた?」

 少しずれた町おこしですね。
 エジプトとなんか関係あるんですか? うちの町は。


 「知りませんでした。
  で、それがどうかしたんですか?」

 目の前にいるお母さんに言います。


 「ピラミッドを造るにあたって絶対的に必要になるのが、
  人手よね」

 「まあそうでしょうね……」

 「でね、どうもその人手が足りないらしくて、
  たくさんのアルバイトを募集してるらしいのよ」

 「……そう、ですか」

 なんだか、話の雲行きがあやしくなってきましたね。


 「ほら、ウチって借金あるじゃない?」

 「ええ、たんまりありますね」

 ああ、なにが言いたいのか、分かってきましたよ?

 

 「みんなでいい汗流しましょう!!」

 「私も働けってことですね!?」

 「だってさ、千夏ったら寝て食べて遊んでるだけで
  ちっともお金を生み出してくれないんだもん」

 「それが近代社会の子どものありかたでしょうが!!」

 それともウチだけ不作続きの百姓状態なんですか?


 「そんなんだから最近の子どもはダメなのよ」

 「はたして子どもを働かせていた時代の子が、
  いい子どもだと言えるのかは微妙だと思うんですけど」


 「とにかく、勤労の辛さとお金のありがたみを知るために
  思いっきり働きなさい」

 「うわ、何となくもっともらしい説法をしちゃったよ」


 絶対に後付けでしょ?

 

 「っていうかお願い。
  本当に働いて」

 「そんな真剣な顔でお願いしてくるなんて
  ……本当に瀬戸際なんですね」

 すごく不安になってくるんですけど。


 「全身の筋肉を動かすか、
  人の上で腰を動かすかどっちか決めなさい」

 「最低だ!! その表現は本当に最低だよ!!」

 セクハラで訴えたら、多分勝てますよ?


 「分かりましたよ。
  働けばいいんでしょう?」

 「さすが千夏!!
  本当にできた娘ね!!」

 あなたは本当にできてない母親ですね。


 「ピラミッド造りのアルバイトって、
  基本的にどんなことするんですか?」

 まあ力仕事なのは当然なんでしょうけど。


 「まずね、腐敗を防ぐために内臓を取り出して……」

 「ピラミッドに埋葬するミイラから作り始めるんですか!?」

 怖いよそれは!!




過去の日記