11月21日 日曜日 「謎の面接」


 「前の会社ではどのような仕事を?」

 「電柱を上ってみたり、肌触りを確かめたりする仕事をしておりました」

 「どんな仕事だよそれ」

 っていうか、この状況は何なんですか?
 何で、うちで訳の分からない面接が行われているんですか?
 そしてどうして私とお母さんが面接官なんですか?


 「なにか特技とかはありますか?」

 「ハトと心を通わせることが出来ます」

 「本当にそういう事が出来ても、決して人前で言わないほうが良いと思いますよ。
  気味悪いだけだから」

 「あと訪問販売員と心を通わせることが出来ます」

 「ちょっと騙されてるんじゃないですか? それは」

 謎です。この面接も、そしてこの人も。


 「最後に何か質問は?」

 「よく無断欠席するけどいいですか?」

 「いいわけないだろ」

 社会人として駄目駄目でしょう。それは。


 「それでは後日連絡いたしますので」

 「はい、分かりました。今日はありがとうございました」

 去って行く男性。
 お母さんに問いただす機会が出来たので、思う存分つっこまさせてもらいます。


 「お母さん!! 何なんですかこれは!?」

 「あなた、最近そのセリフが口癖になってない?」

 あなたのせいですよ。間違いなく。


 「最近物騒でしょ? だからね、うちにも警備員を置いておこうかと思って」

 「は? 警備員!?」

 「そう。だからそれの面接なの」

 「一般家庭……よりも貧乏な私たちのどこに、警備員なんて雇う余裕があるんですか!?」

 「おばあちゃんの財産で」

 急に金が入ったら、無駄遣いし始めるなんて、成金の悪い癖です。


 「もっと有意義なことに使ってくださいよ!!」

 「有意義なことって……例えば?」

 「この家を建て替えるとか」

 「だから、前にも言ったじゃない。
  この家にはたくさん素敵な想い出があるから、そう簡単に壊すことなんて出来ないって」

 壊すことは出来なくても、勝手に壊れていきますけどね。


 「あとは……私の教育費として貯金とか」

 「貯めるだけ無駄な物のために貯蓄してもねぇ」

 「酷いこと言いますね」

 一応あなたの娘なんですから。少しは期待してあげてくださいよ。


 「東大とか行くとき、お金が必要じゃないですか」

 「ああ、裏口入学とか一杯お金が必要だもんね」

 「なんで、実力じゃ入れないって決め付けてるんですか!!??」

 「あなた、勉強する気ないでしょ?」

 「う……返す言葉もありませんけど」

 でも最初から裏口ありきで考えるのはどうかと思います。


 「次のかたどうぞ〜」

 「あ、まだ話は終わっていませんよ!!」

 「失礼します」

 また警備員候補が入ってきちゃいました。

 「お名前は?」

 「山田太郎と申します」

 履歴書の記入例に書かれていそうな名前ですね。

 「前の会社ではどんな仕事を?」

 「電柱を上ったり、肌触りを確かめたりする……」

 「大量リストラとかあったんですか!? その職種!!」


 こんなんばっかり来てました。

 

 11月22日 月曜日 「バトルロワイヤル」


 「今日は皆さんに、殺し合いをしてもらいます」

 「古っ!?」

 思わず先生につっこんでしまうほど懐かしい台詞を聞いた今日のHR。
 なんだか分かりませんが、殺し合うみたいです。
 これも最近流行りの総合学習……なわけないか。


 「まあ殺し合いってのは嘘だけど、サバイバルゲームをしてもらいます」

 「先生、なんでそんなことするんですか?」

 一人の生徒が当たり前の質問を先生にします。

 「今の子どもたちには生きる力と意志が足りない。
  これを養うためにも疑似的な戦闘を経験することで、
   命の大切さや他人の痛み、その他うんぬんを学ぶという……」

 「本音は?」

 「面白そうだからです」

 不条理なことを平然と言ってのけるおっさんですね。
 前世は独裁者か何かですか?
 どっちにしたって決して権力なんて与えてはいけない気がします。

 

 「あ、PTAとかには内緒だぞ?」

 自分の保身を図るのは忘れないとは、なかなかのやり手ですね。
 教育者としては、全然ほめられませんけど。

 

 「さあスタート〜。みんな、五分間はバラバラに逃げる時間だからな〜」

 みんな渋々教室から出ていきます。
 乗り気ではないみたいなので、本当にサバゲーをする人なんていなさそうみたいですね。
 どこでこの時間を潰しましょうか?


 「千夏〜!!」

 突然、私の名を呼ぶクラスメイト。

 「五分後、楽しみにしてろよ〜!!」

 …………もしかして私、狙われちゃったりします?
 なんてことでしょうか。まさか本当にバトルロワイヤルが行われようとしてるだなんて。
 ターゲットが私のみだってことが酷い話ですけど。
 もうこれはイジメなんて言えないレベルです。

 

 五分後。私は体育館の倉庫に隠れていました。
 頭のネジが抜けてるアホ教師と、人の痛みを知らないバカ生徒たちのおかげで
 この学校は戦場になりました。
 何かが間違っている気がします。

 

 「見つけたぞ千夏!!」

 「うわぁ!? 諸悪の根元である先生!?」

 何故かこの悪の親玉が、アサルトライフルを持って突入してきました。

 「楽しそうにしてる生徒たちを見てたらやりたくなって」

 楽しそうだったんだ。みんな。

 「というわけで千夏! 大人しくBB弾の餌食になりなさい!!」

 「それはお断りしますよ! BB弾でも、私にはすごく痛いんですからね!!」

 「知ったこっちゃない」

 おい、他人の痛みを分かるためのサバイバルゲームじゃなかったのか。

 「俺のストレス発散のために散りなさい」

 「ついにこのサバゲーの本当の目的言っちゃったよ!!」

 公務員のストレスのために散るのはごめんです。


 「トラップ、発動!!」

 「何っ!?」

 ちょうど先生の足元に仕掛けていた罠が作動し、獲物が網でつり上げられます。

 「私がただここに震えて隠れているだけだと思ったんですか?
  ブービートラップぐらい、仕掛けてありますよ」

 「ち、千夏っ!! 一体どこでこんな技術を……!?」

 お母さんに通わされている傭兵養成塾でですよ。

 

 「よし、千夏。もうサバイバルゲームは終わりだ。
  普通の授業に戻ろう」

 急に態度を変えましたね。


 「どうしようかな〜」

 「わ〜!! わ〜!! 揺らさないでっ!
  回さないでっ!!」

 なかなか楽しいものですね。
 普段いばっている権力者を懲らしめるのは。


 「仕方ないですね。これに懲りたらもう二度と……」

 「千夏!!」

 ダメ教師にかかりっきりになっていたために周囲の把握を怠ってようで、
 いつの間にかクラスメイトたちに囲まれていました。
 かなりピンチ。


 「千夏、覚悟しろ」

 「あ、あわわ……じ、銃を置きなさい!!
  さもないとこの教師がどうなっても……」

 「別に、どうなってもいいけど」

 「人徳無っ!?」

 はたしてそれは、教師としてどうなのでしょうか。

 その後、私と先生は思いっきりBB弾のシャワーを浴びました。
 私は痛みで泣いて、先生は別の意味で泣いてましたよ。


 

 11月23日 火曜日 「保存食を作ろう」


 朝ごはんを食べてまったりしていると、
 お母さんがキッチンで何かしてるのに気付きます。


 「あれ? お母さん朝から何作ってるの?」

 と、聞いてちょっと後悔。
 まともな物を、お母さんが作ってるわけないじゃないですか。


 「保存食を作ろうと思ってね」

 買えよ。保存食は。
 家で干し肉作らないでくださいよ。

 「何でまたそんな物を……」

 「もし、地球に何か大変なことが起こったら、必要になるでしょう?」

 「……そうですね、なりますね」

 まあ、備えることはいいんじゃないでしょうかね?
 そう自分を納得させてその場を離れます。


 「千夏も一緒に作らない」

 「え〜、面倒だしいいです」

 「もう、そんなことばかり言って!!
  もし地球が大変なことになったら、千夏には保存食を分けてあげないからね!!」

 分けろよ。親として、人として。


 「分かりましたよ……手伝います」

 「さすが千夏!! 私が見込んで生んだだけあるわ」

 「よく分かんないこと言ってないで、さっさと作りましょうよ」


 「じゃあ、この肉を燻製にしましょうか?」

 「……少し思ったんですが、これって何の肉」

 「…………の肉よ」

 「へ? 何ですって? 聞こえなかったんですけど」

 「だから、……の肉よ」

 「いや、だから聞こえないんですってば」

 「……じゃあ牛肉」

 じゃあってなんですか。じゃあって。
 誤魔化すような種類の肉なんですか!?


 「でもさ、肉ばっかり燻製にするのは芸が無いわよね?」

 「別に、肉以外のものを燻製にすることが芸があることだとは思いませんけど」

 「もっとなにかいい物ないかしら?
  あ、ソバとか燻製にしてみたらどうなるかな?」

 「せっかく日持ちしそうな食品を、わざわざ燻製にする必要がわかりません」

 「近頃流行りのお笑い芸人を燻製に」

 「ブームが去っても、長持ちしますようにっていう願いですか?」

 かなり余計なお世話だと思うんですけど。


 「じゃあ千夏を燻製に」

 「その心は?」

 「いつまでも、私の可愛い娘で居てねってことで」

 

 「……キモ」

 「来月のクリスマスプレゼント、どうしようかしら?」

 「お、お母さま!! そんなに私のことを想っていただいて、本当にうれしいですぅ!!」

 クリスマスを引き合いに出されたら、何も言い返すことは出来ません。


 

 11月24日 水曜日 「ヒーロー大集合」


 「ううっ、寒。最近冷え込んできましたね〜」

 下校途中、北風に吹かれた私は手をこすり合わせながら呟きます。
 寒がりな私には辛い季節になりましたよほんと。


 「あ、肉まん食べたいかも」

 道の先にあったコンビニを見ると、そんな考えが浮かびます。
 やっぱり、寒い時は肉まんですよね。
 少ない小遣いを消費するのはためらわれますが、温かい肉まんを思い浮かべると
 そんなのどうでもよくなります。


 「待っててね〜愛しの肉まんちゃ〜ん♪」

 そう言って私が走りだそうとすると、

 「わはははは!!!!
  待ちたまえ君!!」

 というやけに男らしく響く声が。


 「だ、誰ですか!?」

 「正義と寒がりの味方、肉まんマンだ!!」

 「うわぁ、なんだかアンパンマンに出てきそうな形状と、ネーミングセンスなヒーローですね」

 目の前の自称食物ヒーローにつっこみます。


 「お嬢さん。お腹が空いているのかい?」

 「いいえ別に」

 「でもさっき愛しい肉まんって……」

 「聞き間違いです。
  愛しのエノキダケって言ってたんですよ」

 「一文字もあってないじゃないか!?」

 だってそこまでしてごまかさないと、
 あなたの顔の一部を食べさせられそうなんですもん。


 「肉まんって言ったよね?」

 「いいえ、紅しょうがって言ってました」

 「さっきと違うじゃん!!」

 細かいヒーローですね。

 

 「ふはははは!! 私を呼んだかな?」

 「だ、誰だ貴様!?」

 謎の声がする方にに向かって叫ぶ肉まんマン。
 呆れる私。


 「正義と牛丼の味方、紅しょうがマン参上!!」

 また変なヒーローが……。

 「お嬢さん。私のことを呼んでくれたかな?」

 「いいえ。私は愛しの漂白剤って言ってただけで……」

 「もはや食べ物でもなんでも無いじゃないか!!」

 そう言われましても……。


 「わはははは!!」

 「ええ!? またですか!?」

 なんだかここら辺のヒーロー人口率が上がっている気がします。


 「正義と鍋物の味方、エノキダケマン登場!!」

 「微妙にタイミングがずれてる奴が来たー!?」

 いますよね。こういう間がずれた奴。

 「私を呼ん「さあお嬢さん!! 私たちの中から一人選んで、食したまえ!!」」

 あ、エノキダケマンの台詞が……。
 本当に間の悪い人です。

 

 「え〜と、それじゃあ大トロマンで」

 「どうせ喰うなら高級食材をって考えやがったな!?」


 だって食べたことないんですもん。


 

 11月25日 木曜日 「ヤギからの手紙」


 今日は珍しく学校の宿題をやる気になったので、普段使わない勉強机に座りました。
 そんな私の姿を見て、雪女の奴が明日は雪ですねって喜んでいたのが腹が立ちましたが、
 勉強に勤しむことにします。
 え〜と、確か今日の宿題は……


 「千夏〜、あなた宛に手紙が来てるわよ〜」

 私に手紙って、珍しいこともあるもんですね。
 やっぱり、急に勉強をしようと思ったのがいけなかったんでしょうか?


 「手紙って、誰から〜?」

 「黒ヤギっていう名前が書かれているけど、知り合い?」

 「いいえ全然」

 私には紙を食す友人はいません。

 

 居間にいたお母さんから、その黒ヤギさんの手紙を受け取りました。
 確かに宛先は私の名が書かれているのですが、
 どう記憶を探ってもヤギから手紙をもらう筋合いが思い当たりません。


 「え〜と、なになに……」

 黒ヤギさんからの手紙には以下のようなことが書かれていました。

 『さっきの手紙のご用事なあに?』

 ……シュールです。
 手紙なんて送りつけた覚えなんて無いのに、こんな手紙が来るなんて……。
 っていうか、これって童謡のやつですよね?
 なんで私が白ヤギ役なんですか。
 訳が分かりません。

 でもまあ、一応返事は書いておくことにします。
 暇なんで。

 

 「今の時代、手紙なんて使ってないで、電子メールで文通したらどうですか?
  ……と、これでいいでしょう」

 これなら黒ヤギさんも手紙食べちゃって困るということが無くなるはずです。
 我ながらいいアドバイスですね。

 


 黒ヤギさんへの手紙をポストに投函して30分後、返事が届きました。
 なんだか、届くの早すぎませんか?

 で、その速達より早い黒ヤギさんの手紙には、こう書かれていました。


 『さっきの手紙のご用事なあに?』

 ……食べやがったな?
 文字が書けるくせに、自分の食欲を抑えることはできないんでしょうか、このヤギは。
 仕方なくもう一度さっきと同じ内容の手紙を黒ヤギさんに送りました。
 封筒にでっかく『食べるな危険』と書いて。

 

 黒ヤギさんの手紙を投函してから5分後。
 私の家に黒ヤギさんからの手紙が届きました。
 もはや電子メール並みのスピードです。


 「今度こそちゃんと読んでくれたんでしょうね……」

 そう願いながら、黒ヤギさんからの手紙を読みます。


 『さっきの手紙のご用事なあに?』


 ……
 …………
 ………………これはあれです。物覚えが悪くて、要領の悪い奴を見ているような気分です。
 どうして何度やっても覚えないんですか!? って怒ってやりたくなります。


 ……いや、ちょっと待ってくださいよ?
 もしかしたら、黒ヤギさんは『さっきの手紙のご用事なあに?』としか書けない状況にあるのではないでしょうか?
 例えばすぐ近くに強盗がいて、助けを求めたいけどSOSなんて直接的な救助を求めることができない。
 だから黒ヤギさんはこういう方法で私の関心を惹こうと……!?
 そうなんですね!? そういうことなんですね黒ヤギさん!!
 あなたの想いは伝わりました。今すぐ私が助けに……

 「千夏〜、ご飯よ〜」

 「は〜い、今行きます〜」

 まあ別に、夕ご飯を後回しにするほどのことじゃありませんね。
 所詮ヤギだし。

 

 11月26日 金曜日 「怪人、モグラ係長現る」


 「うわあぁん!! 遅刻しちゃうよぉ!!」

 最近の私は、少しづつ下がっていく気温のおかげで布団から出れなくなることがたびたびあります。
 そして、ついに今日は遅刻ぎりぎりの時間まで寝てしまい、
 今このように朝から走り出すことになってしまいました。
 これもみな、寒い朝の二度寝が気持ちよすぎるからです。


 「はぁはぁはぁ……ダメだ、これじゃあ間に合わないよ……」

 心の中に諦めの気持ちが芽生えてしまうと、自然と走る速度が落ちていきます。
 どうせ遅刻するなら、走るだけ無駄ですし……もう歩いて行きましょう。


 「う〜……喉乾いたぁ、ジュースでも飲んで……っうわぁ!?」

 ふらふら歩いていた私の足元が急に沈みます。
 それに引き込まれた私は、5メートルほど落下して、お尻から着地しました。


 「いったぁ……これ、もしかして落とし穴ですか?」

 道路の真ん中に落とし穴を仕掛けるなんて、いたずらじゃ済みませんよ。
 立派な器物損壊罪です。

 

 「ふはははは!!!! 罠にかかったなっ千夏!!」

 「え!? だ、誰ですか!?」

 「悪の秘密結社からの刺客、モグラ係長だ!!」

 「なーんだ」

 「え!? 怪人って、0へぇレベルの存在!?」

 私の目の前によく現れるという意味では、まったくレアな存在では無いですね。

 

 「で、今日はどうしたんですか? ウサギさんならここにはいませんよ」

 「ふふふ……今日はお前に用があるんだ」

 「え……どういうことですか?」

 「怪人の十八番、人質作戦さ」

 ああなるほど、確かに怪人らしいみみっちい戦法ですね。

 「という訳で、一緒に来てもらうぞ」

 「いいですよ。どうせ学校に行ったって遅刻で怒られるだけですし」

 「お前、緊張感とか無さ過ぎ」

 常識の無い怪人に言われたくは無いです。

 


 さて、そういう訳で怪人に捕まってしまった私。
 古びた工場の柱に、ロープでぐるぐる巻きという定番スタイルで拘束されています。


 「ふはははは!! 今日こそにっくきウサギの首をとってやるぞぉ!!」

 「……」

 「ふはははは、今日こそにっくきウサギの首をとってやるぞぉ!!」

 「……」

 「ふはははは、今日こそ……」

 「あの〜、聞いてもいいですか? 何でさっきから同じセリフを……?」

 「いつウサギが突入してきても、物語がスムーズに進むようにだよ。
  このセリフを言った5分後とかに突入してきちゃったら、なんだか間が悪いじゃん」

 大変ですね。怪人さんも。


 「ふはははは、今日こそ……」

 「そこまでだ!! 社会不適応怪人!!」

 怪人が社会に適応されても困りますけど……って、どうやら助けがきたらしいです。

 「な、なんだお前たちは!?」

 突然巻き起こる爆発。そして爆煙の向こうから現れる6つの人影。
 ……6つ? ウサギさんだけじゃないんですか?


 「ふふふ、私たちが来たからには、お前の野望が実ることなどありえないわ」

 そのセリフと共に煙から現れたのは……


 「未だに独身でも通用する、チナピンク!!」

 お母さんでした。
 しかしなんですかその微妙な自慢兼自己紹介は。
 もしかして、戦隊もののヒーローを意識してるんですか?


 「闇に隠れて敵を討つ、チナグリーン!!」

 次に現れたのはリーファちゃん。
 優しい心が売りのはずのグリーンが闇討ちって陰湿すぎます。


 「何故かよく分からないけど選ばれた、チナブルー!!」

 クールっていうより、冷たそうだから選ばれたんでしょ、雪女。


 「体も心も黒い、チナブラック!!」

 自分の腹黒さをカミングアウトするなよ黒服。

 

 「『シャーマンキング』のハオ並みの、パワーバランス崩壊、チナホワイト!!」

 物語をグダグダにするんですかおばあちゃん!?


 「……チナレッドです」

 ウサギさんやる気無ー!?
 まあ理由は分かりますけどね……。

 

 「自分たちの仲間に対してはすごく守ろうとするけど、
  外の人や国がどうなろうと知ったこっちゃっない、
  関心が常に内向きな村社会戦隊、『チナツンジャー』登場!!」

 すごく日本的な価値観を持ったヒーローですね。
 お願いだからもうちょっと目を外へと向けてあげてください。

 

 「ふふふ、よく来たなチナツンジャー。
  しかし、今日でお前たちの命は……」

 「パワーバランス崩壊パンチ!」

 「けぶふぅ!?」

 おばあちゃん、もといチナホワイトのパンチで吹き飛ぶ怪人。
 あの飛びようだと、間違いなく戦闘不能です。
 ホント、物語クラッシャーですねおばあちゃん。
 もうちょっとみんなの出番を増やしてあげてくださいよ。


 「く、くそ!! こうなったら巨大化だ!!」

 まだ生きていたらしい怪人がそう叫ぶと、お約束的に巨大化しました。
 これは本当にピンチ……

 「パワーバランス崩壊キック」

 「けぶふぅぶはぁっ!?」

 「おばあちゃん!!」

 本当に、グダグダになるんでやめてください。


 

 11月27日 土曜日 「恒例ですが」


これをやってましたよ。




過去の日記