12月4日 日曜日 「ダッシュな奥義」

 あらすじ:大妖怪と鬼ごっこしてます。なんでか知らないけど。


 「こらー!! 待ちなさい大妖怪!! 人質を殺させるわけにはいかないですよ!!」

 「てやんでーい! 待てと言われて待つ奴がいるかいーい!!」

 「なんだよ。その妙な江戸前口調は」

 一日の間に何が起こった?



 「とりあえず千夏、このまま追っていても仕方ないから、二手に別れよう」

 「二手にですか!?」

 「ああ。あいつ、どうやらさっきからこの校舎の1階から3階をループしてるようなんだ。
  待ち伏せも簡単だと思う」

 「そうですね……道理で同じ景色ばっかり目に映ってくるわけだ。
  というか何で大妖怪の奴は同じところばかり走ってるんでしょうか?
  時間稼ぎ?」

 「多分スタミナには自信があるんだろうな。
  俺たちを疲れさせてから、じっくりといたぶるつもりなんだろう」

 「そ、そんな……さすが大妖怪ですね。えげつない」

 「とにかく、このままだと戦いが面倒な事になるかもしれない。
  だから、千夏はここで大妖怪の奴を待ち伏せしててくれ。
  俺があいつを追い詰めるから」

 「……いえ! それは待ってください!! ウサギさんが待ち伏せの役をした方がいいと思います!!」

 「へ? なんで?」

 「ほら、やっぱり私とウサギさんだったら、絶対的にウサギさんが強いじゃないですか。
  だからですね、より確実に大妖怪を仕留められるように、ウサギさんには体力を温存しておいて欲しいんです。
  いくら待ち伏せして大妖怪を捕まえたって、万全の状態じゃなかったらやっつけられないかもしれないじゃないですか?」

 「それはそうだが……でも、もしあいつが千夏が1人の時に逃げる事をやめて戦おうとしてきたら……」

 「大丈夫ですって。これでも私、空舞破天流という変態武術を習得しているんですからね」

 「変態奥義なのか? 空舞派天流は?」

 あながちそれは否定できません。






 こうしてウサギさんと別れた私。十数メートル先にいる大妖怪を追いかけ続けます。
 ようはウサギさんが待っている所まで追い詰めてやればいいんです。そうすればこっちの物。
 挟み撃ちにしてやって、ぼっこぼこのめっためたです。

 「よーし!! やってやるぞー!!」

 (千夏……千夏や……)

 「あれ? その声って師匠ですか?」

 (そうだ……いつもニコニコ現金商売の師匠です)

 そんな二つ名は初めて聞いたぞ。


 「勝手に人の頭の中に話かけてくるのはやめて欲しいんですけど?
  プライバシーの侵害ですよ」

 (何を言ってるんだ千夏。俺とお前の中じゃないか)

 「いや、師匠だから身の毛もよだつんですけど?」

 (………………くすん)

 「いい大人が泣くなや!!」

 気持ち悪いですんで。



 「っていうかなに? 何の用なの?」

 (実はな、お前に新しい奥義を伝授してやろうと思ってな……)

 「いや、今は忙しいんでそんな事してる場合じゃないんです。
  また今度にしてください」

 (大丈夫! この奥義はな、簡単に覚える事が出来るんだ!!
  そのお手軽さといったら、まさに銀行の振込みの如く!!)

 例えが良く分かりませんが、銀行の振込みに例えられる奥義もどうなのか。



 「で、どんな奥義なんですか? 走りながらでも覚えられるの?」

 (ああもちろんだとも。いいか、この奥義の名前は空舞派天流神速奥義、『Bダッシュ』!!)

 「Bダッシュ!? マリオか何かなんですか?」

 (これは対象者の移動速度を超高速にさせる奥義だ。
  そのスピードならお前の目の前に居る大妖怪を捕まえる事なんて容易いだろう)

 「へー。それはすごい。で、どうやるんですか?」

 (Bボタンを押しながら方向キー)

 「やっぱりマリオかよ!! っていうか私にBボタンなんてついてない!!」

 (心のBボタンを押してみるのさ)

 その精神論は良く分かりませんよ。




 「まあとりあえずやってみますかね……。ダメでもともとです。
  じゃあ……空舞派天流神速奥義、Bダッシュ!!!!」

 そう叫び、私はファミコンおよびゲームボーイ版のダッシュを行おうとしました。
 確かスーファミはYダッシュでしたよね。

 「……やっぱり何もおこらなっ、いぃぃ!?」

 どういう理論か急激に加速してしまう私の身体。
 気がついた時には、一瞬で大妖怪の身体に手が届きそうになっていました。

 「大妖怪!! つっかまえったぁ!!!!」

 「なに!? なんだその速度は!?」

 「これで、鬼ごっこも終わり……」

 そういえば気付いたんですけど、この奥義って、どうやって止まればいいんですかね?
 加速したのはいいんですけど、いい加減止まらないと向こうの壁にぶつかって……




 「っていやー!! 止まらないー!!!!」

 『ドッガラガッシャーン!!!!』


 ……ドリフ並みの壁衝突、死ぬほど痛い。




 12月5日 月曜日 「信じるという事」

 「う〜ん……はっ! ここは!?」

 昨日の壁衝突の痛みによって気を失ってしまった私。
 ふと目覚めて見ると、照明も何もついていない、薄暗い部屋の中に居ました。
 いったいここはどこなんでしょうか? そして、どうして私はここにいるんでしょうか?
 まったく心当たりがありません。


 「千夏ちゃん、大丈夫?」

 「え……? その声は、もしかして玲ちゃん!?」

 「うん、そうだよー。でも良かったぁ。千夏ちゃんが目を覚まして。
  ずっと目を覚まさないかと思っちゃったよ」

 「なんで玲ちゃんがここに……って痛っ!!」

 私の手首の辺りに酷い痛みがあります。
 それを確認しようとしたのですが、どうも腕が後ろに回されたまま動きません。
 これは……もしかしなくても後ろ手に縛られてるって事ですか?

 「玲ちゃん。もしかして私……」

 「うん。大妖怪ちゃんにね、捕まっちゃったんだよ♪
  私と同じ人質だー♪」

 「わーい。やったぁ……」

 本当にやっちまったよこんちくしょう。
 大妖怪を追っていたはずなのに、逆に捕まって人質にされてしまうだなんて。
 情けないったらありゃしないです。


 「っていうか玲ちゃんはなんでそんなに楽しそうなんですか……」

 「えー? だってさあ、こういう経験ってあまりできないじゃない?
  人質になれる時って、銀行にお金を卸しに行ったら強盗にあって、その強盗が逃走に失敗した時ぐらいしかなれないんだよ?」

 「確かに考えて見ればすっごくレアな状況かもしれませんね。
  まったくもって望みたくもない事態ですが」

 ついでに言わせてもらいますと、私には人質の経験が何回かあるんですよ。
 もうこりごりです。




 「ちくしょう……大妖怪の奴め。今度あったらただじゃおかないですよ!」

 「ねえ千夏ちゃん。なんで大妖怪ちゃんと仲良くしないの?」

 「へ!? 何を言ってるんですか玲ちゃん!! あいつなんかと仲良くできるわけないじゃない!!」

 「どうして?」

 「どうしてって、そりゃあ相手が大妖怪だからですよ!!」

 「そういうのってダメだと思う!! 人種差別はいけない事だよ!!」

 大妖怪って果たして人種と呼べるのだろうか。
 なんて事は良いとして、玲ちゃんはそんな事を言ってきます。
 別に私は妖怪だからどうこうって事を言ってるんじゃないですよ。
同じ妖怪であるはずの雪女さんとは、ちゃんと仲良くやっていってるんですから。


 ……まあ、少しだけ雪女さんを奴隷扱いしてたりしますけど。

 「とにかくですねっ! 大妖怪は危険な存在なんです!! 放っておいたら大変な事になるんです!!」

 「だからそういう勝手な決め付けがいけないんだよ。
  ほら、もしかしたら大妖怪ちゃんは私たちと仲良くやっていきたいのかもしれない。
  でも千夏ちゃんがそんな事言ってたらいつまで経っても仲良くできないでしょ?」

 「ううう……もしかしたらそうかもしれませんけど、でも大妖怪の奴に限ってそれは無いです!!」

 「どうして? どうしてそんな事を決め付けられるの?」

 「だってほら! 玲ちゃんを騙して人質としてここに監禁してるし!!」

 「千夏ちゃんだって私を騙して大妖怪ちゃんを呼び出したじゃない。
  これでおあいこだよ」

 「ううっ……確かにそうかもしれませんけど」

 歩く霊現象の癖に正論で攻めてくるとは……。
 なかなかやりますね玲ちゃん。
 これじゃあ反論のしようがありませんよ。



 「私ね、皆が仲良くなれたらいいなって思ってる。
  それをみんなはすっごく難しい事だっていうけどさ、でも本質的な所ではとても単純な事だと思うんだよね。
  相手の身になって考えてみて、そして握手すれば大体OKだよ。
  そんな簡単な事で、多分仲良くなれるはず」

 「そんなの夢物語ですよ。握手しただけで人は仲良くなれません。分かり合えません。
  だからイジメや何かだって存在してるんじゃないですか」

 「確かにそうだけどさ、でも握手しなかった時よりは、ほんの少しだけ前に進めてると思わない?
  ほんの少しだけ、相手の事を考えられると思わない? そういう物なんだよきっと」

 「でもですね……」

 「今の千夏ちゃん、いじめっ子たちと同じだよ。
  大した理由が無いのに人を嫌って意地悪して……それじゃあ同じだよ」

 「うっ……。それを言われてしまうと何も言い返せないですけど……」

 「だからさ、大妖怪ちゃんの事を信じてみよう?
  きっとあの子は根は良い子だから。
  だから、友達になる努力をしてみよう?」

 「……本当に根は良い子なんですか? 私にはそうは思えないんですけど?」

 「大丈夫。大妖怪ちゃんの友達の私が保証します」

 「あてになるんだかならないんだか……」

 でもまあ確かに、玲ちゃんが言う事も一理あると思います。
 そうですよね。大して相手の事を知らないのに嫌ってばかりじゃダメですよね。
 ……うん、分かりました。私も玲ちゃんに見習って、大妖怪の事を信じてみようと思います!!
 私だって、闘わないならそっちの方が断然いいですからね。




 「んふふ〜♪ 泣け、叫べ、喚け〜♪ 今日がお前の命日だ〜♪
  (血が)飛ぶぞ! (肉が)裂けるぞ! (骨が)軋むぞー♪
  ああ紅蓮の断末魔ー♪ 吼えろ我らの死神王ー♪」


 「……なんですか? あの、隣の部屋から聞こえてくる奇怪な歌は?」

 「ああ、あれはね、隣にいる大妖怪ちゃんの鼻歌だよ。
  隣で何かの準備してるらしいけど、何やってるのかな?
 包丁とか日本刀とかいっぱい部屋の中に運び込んでいたんだけど」

 「やっぱりダメですよ!! あの人を信じるなんて最初から無理だったんです!!
  うわああああぁぁぁん!!! 殺されるー!!!!」

 マジで誰か助けてください。




 12月6日 火曜日 「正義のヒーロー?」


 あらすじ:大妖怪に捕まって死刑執行間近です。誰かタスケテ。


 「うおおおお!!!! この縄を解けー!!」

 「千夏ちゃん。なんだかすっごくテンパってるね♪」

 「そりゃテンパるよ!! だって隣の部屋では大妖怪の奴が刃物を研いでるんだからね!!
  必死にもなるってもんさ!! 命の危機がひたひたと歩み寄ってきてるんだからね!!」

 っていうかあなたはやけに冷静ですね玲ちゃん。
 やっぱりあれか? 幽霊だから死なないとでも思ってるんですか?
 ……いえ。確か玲ちゃんは自分が幽霊だとは知らなかったんでしたね。
 つまり天然ボケなんですか。羨ましいったらありゃしない。



 「どうしよー。本当にどうしよー。このままだと八つ裂きにされちゃうよー」

 「私に良い考えがあるよ?」

 「本当ですか玲ちゃん!? それってどんな方法!?」

 「あのね、大妖怪ちゃんに止めてくださいって頼むの。
  一生懸命頼めば、きっという事を聞いてくれるよ♪」

 「その能天気さには敬意と同時に殺意も湧いてきますよ」

 この両手が自由ならば、思いっきり頭を叩いてやるのに。

 「でもやってやれない事は無いと思う」

 「後ろ盾がまったくない応援ありがとうございます。
  全然勇気湧いてこないけど」

 あー。どうしようー。どうやってここから逃げ出せば……。




 「あーら、もう目覚めてたんだ? あんだけ勢いよく壁にぶつかったからまだ昏倒してると思ってたんだけど」

 「あ、あなたはっ、大妖怪!!」

 私たちが閉じ込められている部屋に、大妖怪が入ってきました。
 彼女の手には、闇の中でも煌く銀の刃物がたくさんです。
 ……えーっと、きっとあれはステーキ用のナイフなんですよね?
 私たちに美味しいお肉をご馳走したくてここに呼んだんですよね?
 いまからミディアムレアなステーキが出てくるんですよね?

 そうだと言ってお願い!!!


 「さて、何か遺言とかある?」

 「うわーん!! やっぱり殺す気満々じゃないかぁ!!
  ステーキはどこ行ったぁ!!!」

 「へ? ステーキって何のこと?」

 別に気にしないでいいですよ。




 「ほら、さっさと遺言があるなら言いなさい。
  あなたの家族に、一言残さず伝えてあげるから」

 「こんの鬼畜めぇ……」

 「大妖怪ちゃん!!」

 玲ちゃんが、急に声をあげました。
 もしかして助けてくれたりするんでしょうか?
 千夏ちゃんを殺すなら、まず先に私を殺しなさいとか。
 ベタベタですがカッコ良すぎです。

 「何かしら玲ちゃん……?」

 「今日って何曜日?」

 「……火曜日だけど?」

 「そっかぁ。火曜日かぁ……」

 「……」

 「……」

 「…………って、何曜日か気になっただけなんですか!!
  私を助けようとか、そういった展開は!?」

 「え? 何それ?」

 もういいよ。誰かに頼ろうとした私が馬鹿だったんですよ。



 「大妖怪!! あなたに聞きたい事があるんです!!
  後生ですから、私の質問に答えてから殺してください!!」

 「ん……面倒だけど、まあいいよ。で、何が聞きたいの?」

 「あなたの人生の歴史を最初から最後まで」

 確か大妖怪は、紀元前から、石器時代でアウグムビッシュム族が栄華を極めていた時点から存在していたはずです。
 きっとその人生の語るには長丁場になるに違いない!!
 それこそ世界史の全授業時間を足したって足りないぐらいに!!

 ……ええ、そうですよ。時間稼ぎですよ。
 それが何か?



 「私の人生にそんなに興味があるの?」

 「ええもちろん! だから、教えてください!!」

 「ん〜……分かった。特別に教えてあげる」

 「よっしゃかかった!!」

 「何そのガッツポーズ?」

 気にしないでください。

 「あれはまだ人間どもが石斧で狩りをしていた時代……私は、お父様の手によって作られました」

 「大妖怪のお父さんって……あの黒い星の民ですよね?」

 「そいでそのお父様にアウグムビッシュム族を根絶やしにしてこいって言われたから行って、
  そしてらお酒飲まされて封印されました」

 「……そういやそうだったですね。ヤマタノオロチ作戦にまんまと引っかかったんだった」

 「それでずっと眠り続けて……」

 「眠り続けて?」

 「つい数ヶ月前に目が覚めました。終わり」

 「短っ!! 大妖怪の人生、思ったよりも短いっ!!!!」

 「これでいい? じゃあ今から天国に送ってあげるから」

 「うわー!! ちょっとタンマ!! まだ聞きたい事あるんですよ!!」

 「えー? 答えるのめんどいー」

 「そんな事言わずに!! えーっと、えーっとですね、大妖怪の封印を解いたのって誰ですか!?
  やっぱりアメリカ軍とか?」

 「ううん。私の封印を解いてくれたのは、お父様だった。
  にへへー。お父様はね、私に再び崇高なる使命を与えてくれたんだよー」

 「え……? お父さん……?」

 っていう事は、あの黒い星の民がまだこの世に居るって事ですよね……?
 おばあちゃんにやっつけられたと思っていたのに……。
 もしかして、アメリカ軍が私たちと戦争したのもそいつのせい?
 そいつが仕組んだ事?



 「よーし。じゃあさっそくギロチンごっこしよっか?」

 「いやですよそんな血生臭いごっこ遊び!! じゃなくて、もっとその話を詳しく聞かせて……」

 「よっしゃー。このナタで首ちょんぱしてやろっと♪」

 「待てー!! それ、ちょっと待ってー!!」

 やばいです。これはマジで殺されて……。




 「待てー!!」

 「っ!? 誰だ!!」

 誰かの声がこの部屋に木霊します。
 もしかして……ウサギさんが助けに来てくれたんですか!?


 「濁りきった悪を決して許さない……純白の戦士、『牛乳マン』参上!!!」

 「お前誰だー!?」

 なんか変なのが助けに来ちゃった。





 12月7日 水曜日 「封印」

 昨日、もうすぐ私が大妖怪の奴に殺されそうになった時に、正義のヒーローが現れました。
 牛乳マンでした。
 そんな、カルシウムが豊富そうな正義のヒーローなんてしらねぇ。



 「私の名前は牛乳マン!! お前を、悪しき魂を絶対に許さない!!」

 「だからお前は誰やねん!!」

 「案ずるなよ人質少女よ。私が来たからには安心だぞ?」

 「人の話を聞きなさいって!!」

 なんて自分勝手なヒーローなんだ。


 「お前は……私の敵か?」

 「そうだ悪魔の手先よ!! 私の必殺剣、ホットミルクソードで浄化してやる!!」

 なんだかよく分かりませんけど、大妖怪と牛乳マンが戦う事になったらしいです。
 まあ助かりました。今のうちにこの手を縛っているロープを解いて逃げ出さないと……。

 「喰らえ!! カルシウムとDHAの詰まったホットミルク……ぶぎょがはぁ!!??」

 「うわー!! 必殺技の名前を言ってる間にぶっ飛ばされてるー!!」

 なんて弱い正義のヒーローなのでしょうか?
 大妖怪のパンチで壁にめり込んでしまいました。
 …………役に立つのかこいつ?

 「く、くそ……やるじゃないか。しかしな、この牛乳マンの骨の硬さは、通常の人間の30倍なのだ!!」

 「へぇー。一応そういうヒーロー補正があるんですね。30倍は本当に凄そう」

 「しかし内臓類は普通の人間と変わらないのだ……」

 えらくしょぼいヒーローだなぁ……。




 「しかしっ!! 私の何よりの武器は固い骨ではない!!
  いくら痛めつけられてもめげない心なのだぁ!!!!」

 「おおっ!! そのセリフはなんだかかっこいい!!」

 腐ってもヒーローって事なんですかね。

 「だからっ! 決してお前には負けな……ぶぎょぐはぁっ!!!!」

 「ああー!! また殴られたぁ!!」

 またもや吹き飛ぶ牛乳マン。これはもう酷いぐらいに。



 「……ぎゃふん」

 「あ。ヒーローなのにぎゃふんって言ってる。もうダメな感じですね……ってああ!?
  そのマスクの下に見え隠れしている顔は師匠!?
  もしかして牛乳マンって師匠だったんですか!?」

 何やってるんだよいったい。

 「ち、千夏……済まない。お前を助ける事は無理そうだ……」

 「なんでそんな格好してるんですか? 素顔のまま助けに来たらいいじゃん」

 「だって恥ずかしいから……」

 どんな純情乙女だっての。きもいわ。



 「よし、それじゃあさっさくとどめを……」

 「師匠!! 危ないです!! 逃げてください!!」

 「もうダメ。なんだか腰が抜けちゃったみたい」

 本当にダメなヒーローだな。

 「よし死ね……っ!?」

 止めを刺そうとした大妖怪ですが、急にその場から飛びのきます。
 その数瞬後に、大妖怪が居た場所が吹き飛びました。

 「ちっ……ウサギかぁ!?」

 「当たりだ大妖怪!!」

 部屋の中に巻き起こる土煙の中から、ウサギさんが姿を現しました。
 きっと床をぶち破って助けにきてくれたのでしょう。

 「このっ、何度も何度も邪魔しやがってっ……」

 「そういう腐れ縁だと思って諦めな!!」

 「ウサギさん、助け……」

 「ちょっと待ってて。コイツを先に倒してから」

 「えー?」

 ちょっとそれは酷いんじゃないですか?
 もうちょっと私の方を向いて欲しいんですが…………。



 「ふふふ……今のうちに……」

 「師匠? ボロボロなのに立ち上がらなくても……ここはウサギさんに任せておきましょうよ」

 「いや……俺にはやらないといけない事があるんだ。
  ここで這い蹲っているわけにはいかないっ!!」

 「無理しないでいいですから。っていうか師匠が無理するとろくな事にならないですから」

 「空舞破天流奥義っ!!」

 「聞けよ人の忠告!!!!」

 また何する気なんだよ。

 「牛乳パックに封印の術!!!!」

 「なっ……って、わああああ!!」

 「えー!? 何それ!?」

 なにやら良くわからない事を叫ぶ師匠。
 すると、何故か大妖怪の奴が師匠の持っていた牛乳パックへと大妖怪が吸い込まれていきました。
 …………どういう原理で?


 「な、なんなんですかその技は!?」

 「ふふふふ……こいつはな、その名の通り牛乳パックに封印するわざで……」

 「予想と寸分たがわぬ説明に頭がくらっとします」

 相変わらずのトンでも奥義だな。っていうかなんで牛乳パックなの?

 「しかもただの封印の技じゃないの?
  こいつの中で三日三晩寝かしてやれば、誰だって善人になるという素敵な秘術で……」

 「どういう理論でそうなるの?」

 「牛乳の真っ白さが、人の心を洗い流してくれるのです」

 民間療法並みの理論は止めてください。





 12月8日 木曜日 「大妖怪の企み」

 「あ。女神さん居たんだ?」

 「ひ、酷い……」

 どうやら女神さんは私と玲ちゃんと一緒に大妖怪の手によって人質にされていたみたいですね。
 全然気付きませんでしたよ。
 恐るべし女神さん。



 さて、私たちは大妖怪を封印する事に成功しました。
 これでようやく身近な危機を無くせて良かったです。
 これからはきっと平和な日常が続いていくのでしょう。
 ああ、なんたる幸せか。



 「ったく……俺がボコボコにしてやろうかと思ってたのに、よりにもよって牛乳パックに封印かよ」

 「あははは……まあいいじゃないですかウサギさん。
  いろいろ紆余曲折ありましたけど、これで戦いが終わったんですよ」

 「う〜ん……まあ少しだけ納得がいかないけど、しょうがないか」

 「そうですそうです。
  ……だから、全部終わったんですから、私たちの家に帰ってきませんか?」

 「え……?」

 「ほら、大妖怪もこの学校に居ませんしね。
  だからもうウサギさんがここに居る必要は……」

 「……確かにね。そろそろ家に帰ってもいいかも」

 「本当ですか!? やったぁ!!!!」

 これで本当に全部元通りです。
 やっぱりウサギさんが家に居なくちゃ、寂しすぎますって。





 「じゃあそろそろ家に帰りましょうか?
  さすがにお母さんたちも心配してると思いますし」

 「そうだね。帰ろうか」

 「それにしても……なんで大妖怪は学校から出なかったんですかね?
  もうちょっと他に隠れられそうな所、あったはずなのに」

 「さあね……。何か理由があったんだろうけど、もうそれを知る事なんて出来ないなぁ」

 「案ずる事は無いぞ!!」

 「わっ! びっくりした!!」

 急に大声をあげる師匠。
 何が案ずることが無いのか、全然分かりません。

 「これを見てみろ」

 「これって……大妖怪が封印されている牛乳パックですよね?」

 「その通り。前にも言ったが、この中に封印された者はどんな奴でも善人となるのだ!!」

 「牛乳の真っ白さで?」

 「うん」

 だからうそんくさいっての。



 「つまりだな、この中から大妖怪を出してやれば、なんでも俺たちの質問に答えてくれる正直者が出てくるって事さ!!
  そんな大妖怪になぜこの学校から出る事が出来なかったのかを尋ねれば、全ての謎が解き明かされる!!」

 「えー? 本当ですかぁ?」

 「本当だってば。じゃあ今からコイツの封印を解くぞ?」

 「え!? ちょっと、それは危険なんじゃ……」

 「大丈夫大丈夫。俺の奥義を信じろって」

 「私はあなたの奥義のおかげで大妖怪に捕まる事になったんですけど?」

 「それはお前の使い方が悪い」

 言ってくれるじゃないか。




 「では行くぞー!! 奥義、牛乳パックに封印の術、解除ー!!」

 「うわー! 本当にやっちゃったよ!!」

 これでもし大妖怪が改心していなかったらどうするつもりなんでしょうか?
 また戦う事になったら、さすがに辛いんですが?

 そういう不安を他所に、牛乳パックから大妖怪が飛び出てきてしまいました。
 あーあ……。


 「ううっ……ここは?」

 「ふっ、どうやらまだ事態を把握できていないようだな」

 「この大妖怪、本当に無害になってるんですか……?
  見た目ではあまり変わったように思えないんですけど?」

 「それは見た目だけさ。心の中はすでに純白なんだ。
  まるで白いペンキを塗りたくられたが如くな!!」

 「なんとなくシンナー臭い純白な心ですね」

 あまり健康によさそうには思えない。




 「よし。じゃあ何か質問してみようか。きっと正直に答えてくれるはずだぞ」

 「本当ですかぁ……? まあいいや。試してみれば分かります。
  えーっと大妖怪さん。あなたは何で……」

 「アンパンは粒餡とこし餡、どっちが好き?」

 「どさくさに紛れてどうでもいい質問すんなよ師匠!!」

 その質問に一体なんの意味があると言うんですか?

 「別にどっちでもいいです」

 「おお。何となく生の気持ちを言ってる気がする」

 まあ確かにどっちでもいいかもしれないけれど。


 「何してるんですか師匠……」

 「いやね、本当に正直者になったかテストしてみたくて」

 「やっぱり自信が無かったんかい。
  というかですね、別に餡の種類がどうであったって、それが正直者の証明にならないでしょうが」

 「粒餡派には悪い人が居ないっておばあちゃんが……」

 「あんたのおばあちゃんは随分と当てにならないおばあちゃんの知恵袋を授けてくれたんですね」

 当てにならない年寄りの知恵だなー。



 「じゃあとにかく、きちんと質問してみましょうか……。
  えーっとですね、大妖怪ちゃんは何でこの学校から出なかったんですか?」

 「それは…………出たら、魔法陣が作れなくなっちゃうから」

 「魔法陣? なんですかそれ?」

 「古い魔物を呼び出すために……ずっとこの学校の中に作ってたの」

 「なんですって!?」

 魔物を呼び出そうとしていただなんて……。
 たった一人でそんな恐ろしい計画を企ててたというんですか!!

 「それで……その魔物は!?」

 「もう、呼び出した……。だから、もうすぐこの世界は終わってしまう。
  魔物に、食い尽くされてしまう……」

 「嘘、でしょ……?」

 もう手遅れだというのでしょうか……?
 いや、まだ魔物の正体が分かっていません!!
 もしかしたらすっごく弱い魔物かもしれないし!!

 「その魔物って、どんな魔物なんですか……?」

 これだけ手間かけてるんだから、弱いわけは無いと思いますけど、一応僅かな希望を持って大妖怪さんに尋ねました。








 「魔物の名は……デフレスパイラル」

 「あー。それはびみょー。すっごくびみょー」

 なんか地味に世界を滅ぼしそうな魔物ですね。







 12月9日 金曜日 「冬の起こされ方」

 『ピピピピピピピピ……』

 「ぬう……うるさい目覚しめぇ……」

 夢の中からむりやり引きずり出され、めざまし時計に文句を言う私。
 いやね、めざまし時計がうるさいのは当たり前という事は十分承知してるんですけどね。
 というかうるさくないと起きれないし。
 それは分かってるんですけど……やっぱり目起きの私には、
 めざまし時計は麗しい睡眠時間を邪魔する存在にしかならないわけですよ。


 『ピピピピピピピピ……』

 「うっさいっての」

 『ピピピピ……ガシャン!!』

 だからですね、健気に働いているめざまし時計を壁の方へぶん投げたとしても、
 仕方のない事なんですよ。
 不可抗力と言っても仕方ないんですよ。
 だから乱暴者だなんて思わないでください。



 「ふう……これでようやくぐっすり眠れ……」

 「眠っちゃダメでしょうが」

 何故か私のベッドの脇からお母さんの声が聞こえてきました。
 そしてその声と同時に生まれた、私の首筋に落ちる冷たい感触。

 「にゃあああああーーーーーー!!!!!」

 死ぬほど冷たかったそれのおかげで、私は飛び起きる事ができましたとさ。





 「なに!? なんなの!? もしかしてテロ事件!?」

p> 「あなたにとっては首元に氷水を垂らしただけでテロなの?
  随分とまあ平和ボケした危機意識ね」

 「お母さん!? っていうか氷水を私にかけたんかい!!」

 そりゃ飛び起きて当然だわ。

 「何するんですかお母さん!! 寝てる人に水をぶっかけるなんて、正気じゃないですよ!!」

 「何を言ってるのよ。あなたが寝てるから、起こすために水をかけたんじゃない」

 「うううぅ……」

 「ほら、さっさと起きないと遅刻しちゃうわよ?」

 「なんにしたって、こういう起こし方は無いと思います。
  起こしてくれるならもうちょっと優しくやってくださいよ」

 「優しくって例えば?」

 「えーっと、その……枕元に金一封を置いてくれるとか」

 「それで起きるのかよ。なんてがめつい娘だ」

 あなたの娘なんだからそんな風に言わなくてもいいじゃないですか。





 「いい? これから毎日、めざまし時計で起きなかったらすんごくキツイ起こし方しますからね!!」

 「な、なんですか……すんごくキツイ起こし方って……」

 「例えば……手が動かなくなるような起こし方とか」

 「何をするつもりなの!? なんか怖いんですけど!?」

 「指の関節を逆に……」

 「詳細は言わなくていいよ!! すっごく怖くなるから!!」

 「それが嫌だったら毎日定時に起きる事ね」

 「それが出来たら苦労しませんよ……」

 出来ないからめざまし時計を壊しちゃったんじゃないですか。





 「こういう場合はね、いろいろ工夫すればいいのよ」

 「へー。起きる時に工夫ねぇ。それってどんなの?」

 「例えばそうねえ……千夏のベッドの上に大きな岩を吊り下げといて……」

 「ほうほう。その一文を聞いただけで今後の展開が予想できてしまいますね。
  自分の想像力が怖いわ」

 「起きる時間になったら、岩が落ちるの」

 「そうだろうと思ってたよ」

 もうすこし何か捻りを加えて欲しいですよ。



 「とにかく、明日からは私に起こされなくてもちゃんと起きるのよ!?」

 「はいは〜い」

 そんなきつい事を言ってるお母さんですけど、いつもいつも結局は私を起こしてくれるんですよね。
 なんだかんだで私の事可愛いと思ってるんですよ。
 まったく素直じゃないなぁ……。


 「もし起きれなかったら、庭にいるリーファちゃんみたいな事になるからねっ!!」
/p>

 「え……? 庭に居るリーファちゃん?」

 恐る恐る部屋の窓から庭の方を見て見ると……そこには、逆さまな状態で地面に突き刺さっているリーファちゃんの姿が。
 ……どこの犬神家の一族なんですかそれは。

 「もしかしてあれはお母さんが……」

 「明日からは、きちんと1人で起きるのよ?」

 「はい……」

 そんな風に言われたら頷くしか無いじゃないか……。






 12月10日 土曜日 「ネコ好きの雪女」

 「にゃーん……」

 「にゃーん」

 「にゃーん」

 「……なんだこの状況」

 えーっとですね、なんだかよく分かりませんけど、私の家にいっぱいネコが居ます。
 なんだこれー? どういう事でこうなってるのー?」


 「あー、千夏さん。どうしたんですか? こんな所で突っ立っちゃって」

 「ああ、雪女さん。あのですね……家にネコが……」

 「可愛いですよねー♪」

 「えー!? なに馴染んじゃってるのー!?」

 驚いている私が変みたいになっちゃってるじゃないですか。
 なんでだよおい。



 「いつからウチは近所に迷惑がられるネコ屋敷になったんですか……」

 「つい先ほどですよ?」

 「どういった経緯で?」

 「まずですねぇ……ウチにはラルラさんというネコさんが居るのはご存知ですか?」

 「もちろんご存知です。いつぞやの無人島から連れ帰ったのは私だと言っても過言ではないですから」

 「そのラルラさんがですねー、お友達のネコを連れてきたのが事の発端なんですよー」

 「え……? ラルラさんが?」

 確か前は妖精だったはずなのに、やけにネコとしての人生をエンジョイしてるみたいですね。
 その適応能力は尊敬しますけども、お友達を連れて来すぎだと思います。


 「何もこんなに友達連れてこなくてもいいのに……。どんだけ交友範囲が広いって言うんだよ」

 「いえ。最初の頃はラルラさんのお友達は一匹だったんですけども、それが回数を重ねるごとに増えていきまして……」

 「それでこうなったと」

 「はい。最近寒いですし、ネコたちも暖かい家の中に居たいんでしょうね。
  全然出て行ってくれません♪」

 だからなんでそんなに楽しそうなんですか。
 もしかして雪女さんってネコ好き?




 「とにかく、このままではいけません!!
  ラルラさんのお友達だろうとそうでなかろうと、この家から出て行ってもらわないと」

 「そんな! 彼らを木枯らし吹き荒れる外の世界に放り出すつもりですか!?
  この鬼畜!! 千夏さんの鬼畜め!!」

 酷い言われようだなおい。

 「いいですか!? このネコたちが、どれだけ私たちの生活に支障をもたらすか分かってるんですか!?
  柱とか壁とかに、爪あとが付きまくりじゃないか!!」

 「いいじゃないですかそれくらい!! 減るもんじゃないし!!」

 「減ってる!! 現実に、柱が減ってる!!」

 「例えそうだとしても……こんなに可愛いんですよ!?
  外に放り出すなんて可哀想!!」

 「何を言ってるんですか……。可愛ければなんでもしていいって、そういう事言うんですか!?」

 「はい! 世の中そんなものでしょう!?」

 うっわ。すっげえ何とも言い辛い事を易々と……。
 女性にとっては身につまされる言葉なんですけど?



 「とにかくダメです。絶対ダメ。このネコたちをさっさと家から追い出しなさい」

 「私がちゃんと世話しますから!! だからお願い!!」

 「世話するって言ったって、この子たちの食費とか、傷つけた壁などの修理費とかは誰が出すんですか!?
  どうせ私たちの家計からなんでしょ!?
  最近のりたまご飯が続く私たちの食事を、さらに厳しくするつもりか!!」

 「のりたまは健康に……」

 「別に特筆するほど良くは無いよ!! だってあれただの振り掛けだし!!」

 「とにかく絶対にダメなんですー!!」

 「そう……雪女さんがその気なら、私にだって考えがありますよ」

 「え……考え?」

 対雪女さんようの秘密兵器ですよ。
 まさかこれを使ってしまう日が来るとはね。

 「雪女さん……この事、お母さんに言いつけますよ?」

 「うっ……!? 春歌さんにですか!?」

 「ええそうです。きっとすごーく怒られますよぉ?」

 雪女さん用の最終兵器。
 それはやっぱりお母さんでしかないでしょう。
 いつもお母さんに対してへこへこしている雪女さんなら、絶対にその名を出しただけで言う事を聞くと思います。



 「ううっ……い、嫌です!! 例え春歌さんに怒られても、絶対この子たちは出て行かせません!!」

 「雪女さん……。あんなに恐れていたお母さんに反抗してまでそのネコたちを守りたいんですか……」

 なんだかちょっと感動です。
 実際はただダダをこねて我がまま言ってるだけなのに。
 本当はいい歳した大人がネコの事で子供っぽい事言ってるだけなのに。
 本当に不思議なもんですね。



 「雪女さんの気持ちは分かりました……。
  でも、どうなっても知りませんからね?
  お母さんにすっごく怒られても、本当に知りませんからね?」

 「望む所ですよ。私は、真正面から闘い続けます!!」

 無駄に意志の強い人ですね……。




 「良かったねー、ネコちゃんたち〜。
  千夏さんがあなたたちを迎え入れてくれるらしいですよ〜♪」

 「ちょっと。そんな事、一言も言ってませんって」

 「じゃあみなさんに、ご飯のプレゼントだよ〜♪」

 人の話を聞きなさいっての。

 「はいはい、みんなたんと食べなさ……って痛い!!
  ちょ、噛まないで……ぎゃにゃっ!! 引っかくのやめ……あいたああぁ!!!!」

 雪女さんの持っているご飯を奪うために、彼女に飛び掛ってくる大勢のネコたち。
 彼らのおかげで、雪女さんはめちゃくちゃにされていました。

 「痛い痛い痛い痛いよー!!」

 「雪女さん……ネコ好きの癖に、ネコたちには好かれていないんですか」

 不憫すぎて泣けてくるわ。











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